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F1イギリスGP分析(2)シミュレーターとの相関向上で方向性を見出したメルセデスと、勝ち方を忘れたマクラーレン

2024年7月16日

 2024年F1第12戦イギリスGPで、メルセデスのルイス・ハミルトンが2021年サウジアラビアGP以来の勝利を挙げた。オーストリアとの2連勝を達成したメルセデスW15の改善点について、F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが分析する(全2回)。


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 メルセデスがこの数戦で行ってきた技術的改善は、雪だるま式の効果を生み出した。W15はよりバランスの取れたマシンとなり、これまで風洞やシミュレーターで完全に対応できなかった路面状況や気温、路面温度、風向き、風力の変化に対して、過剰に反応しなくなったのだ。


 メルセデスでは以前から、シミュレーションと実際のサーキット走行での相関関係が疑問視されていた。シミュレーターで出た好数値が、コース上で再現できなかったのだ(多くのライバルチームも手こずっている点ではあるが)。しかしその領域の改善に、どうやら大きく成功しつつあるようだ。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2024年F1第11戦オーストリアGP キャリア2勝目を挙げたジョージ・ラッセル(メルセデス)


「今回の様々な変更で、マシンが前より少し正常に動作するようになった」と、メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクター、アンドリュー・ショブリンは説明する。


「ドライバーがオーバーステアやアンダーステアについて、苦情を言うことはなくなった。たとえば慢性的なアンダーステアのような、これまでは解消に時間のかかった厄介な問題が発生した場合でも、比較的短時間で解決できるようになった。マシンバランスは改善し、レース現場でのセッティング作業も非常にやりやすくなったと思う」


「そして何よりも重要なのは、シミュレーターとの相関関係が改善されたことだ。これまでは、正しい方向性をほとんど見失っていた。たとえば路面温度が5度上下したり、風向きが30度変化しただけで、車のバランスが大きく崩れてしまい、修正できなかった。それらはわずかな変化だが、シミュレーターではしっかり捉えきれなかったんだ」


「しかし今のW15なら、この程度の変動要因はまったく問題にならない。その結果、シミュレーションと実走との相関関係が向上し、さらにより多くの興味深いデータを収集することができ、それによって加えられた変更で、いっそう車が速くなる。そんな好循環に入れるようになったんだ」


「バランスが取れていない今までのW15では、それは不可能だった。しかし正しい開発方針を見つけた今は、低速、中高速、ストレート、あらゆる領域で適切なパフォーマンスを発揮できるようになった。高速走行でのバウンシングの問題もなく、ブレーキング時の不安定性もない。間違いなく、パフォーマンスは向上しているよ」

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2024年F1第12戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

■完璧なレースオペレーションができず、勝利を逃し続けるマクラーレン


マクラーレンMCL38
マクラーレンMCL38(比較)

 一方マクラーレンは、またも勝てるレースを落としてしまった。新しいエンジンカウル(上の画像青色矢印参照) と新しいウイングを取り付けたMCL38は、今やどんな特性のサーキットでも速さを発揮する。しかしドライバーとチームのミスでその優位は台無しになった。


 予選での失敗の後、ノリスはスタートでも出遅れた。そして2回目のピットストップをルイス・ハミルトンやマックス・フェルスタッペンから1周遅らせたために、首位から陥落してしまった。ライバルにはないミディアムのニュータイヤを温存していたにもかかわらず、ユーズドソフトを選択したのも、明らかに誤った判断だった。


 チームに関して言えば、最初の土砂降りの際にピットに呼び寄せるのが遅れ、タイヤ選択もノリスに指示するのではなく、相談した。マクラーレンのレースチームはすでにカナダGPで、雨が激しくなりライバルたちがタイヤ交換に戻る中、コース上に留まるという失敗を犯している。


 レッドブルやメルセデスのようなトップチームと競争するには、優れた車だけでなく、完璧なレースオペレーションも欠かせない。かつてのマクラーレンに備わっていたその能力が、このチームにはまだ失われたままだ。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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6位アンドレア・キミ・アントネッリ48
7位ルイス・ハミルトン41
8位アレクサンダー・アルボン30
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール14

チームランキング

※マイアミGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム246
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム141
3位オラクル・レッドブル・レーシング105
4位スクーデリア・フェラーリHP94
5位ウイリアムズ・レーシング37
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム14
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