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F1中国GP技術解説:どん底アルピーヌの期待のアップグレード(1)1台のみの新パッケージ。減量プログラムが大きく前進

2024年4月25日

 2024年F1第5戦中国GPに、アルピーヌが大規模なアップグレードを持ち込んだ。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルがこれを分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。


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 F1中国GPのアルピーヌは、今シーズンここまでで最高の週末を過ごした。いやむしろ、「最悪ではなかった週末」というべきだろう。 A524が大幅アップデートされたことで、確かに戦闘力は上がった。その結果、エステバン・オコンは中団の位置を快走したが、惜しくもポイントに届かなかった。改良部分を具体的に紹介しよう。

■1985年以来の最悪なシーズンスタート


ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2024年F1第4戦日本GP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 英国エンストンを本拠とするこのチームは、これまで何度も浮き沈みを繰り返してきた。しかし今シーズンは、チームの祖先がトールマンと呼ばれていた時期からの38年間で最悪のスタートだった。これほどの低迷は、1985年以来と言える。あの年のトールマンは、まだまだ小ぢんまりとした、アマチュアに毛の生えたようなチームだった。そしてタイヤを供給してくれるメーカーを見つけられず、最初の3戦に出られなかったのだ。


 その後、ベネトンと呼ばれたチームがルノーに買収されたばかりの2000年代初頭、あるいは資金不足がかなり深刻だったジニー時代の2014年、そして同じ理由から前年のマシンを投入せざるを得なかった2016年シーズンなど、何度か苦しいシーズンを経験。しかしこれまではその時にもポイントを獲得してきたが、今年は1ポイントがあまりに遠い。


 アルピーヌは、中国GP終了時点で、コンストラクターズ選手権暫定順位において、最下位から2番目に沈んでいる。マシン作りが完全に失敗したため、非常に困難な時期を送った後に、第5戦中国に大幅なアップデートを投入。新型フロアと軽量化されたマシンを駆ったオコンは、ポイント圏に手が届きかけるところまで到達してレースを完走した。もちろん奇跡を起こすには、まだ十分ではない。しかし間違いなく、チームにとって今季最高のレースだった。


 今回のアップデート投入は、予定よりも1レース早めて行われた。チームの熱心な取り組みの賜物だが、それでも間に合ったのは1台のみ。ピエール・ガスリーが恩恵を受けられるのは、次戦マイアミGPからになる。

アルピーヌA524
2024年F1第5戦中国GP アルピーヌA524

■ダイエットの目標値に近づく

 新しいモノコックでは、約3kgの軽量化に成功したとのことだ。798kgの重量制限をわずか1kg超えているだけであり、早ければ次のマイアミには、重量制限に到達する見込みだという。


「最低重量制限にかなり近づくことができたし、1、2レースでそこに到達できるはずだ」とパフォーマンスを担当するテクニカルディレクターのキアロン・ピルビームは説明する。


「減量プログラムには、すでに開幕前から取り掛かっていた。具体的には何かひとつの大きな減量ではなく、いろんな部位での重量削減だった」


「詳細には触れたくないが、決して限界ぎりぎりの減量ではない。痩せすぎてフラフラになってしまっては元も子もないからね。少し柔軟性を与えてくれるポジションに、間もなく到達するだろう」


 モノコックは元々、カーボン繊維の隙間の空間を利用して軽量化を図るように設計されている。しかし残念なことに、エンストンの設計部門はシミュレーションに自信を持っていたにもかかわらず、モノコックは衝突テストに合格できなかった。そのためエンジニアはパーツを追加して強化する必要に迫られ、結果的に重量が増えてしまったのだ。

アルピーヌA524
2024年F1第5戦中国GP アルピーヌA524


(第2回に続く)



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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