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【F1技術解説】なぜメルセデスはこれほど遅かったのか(2)高速コーナーのロスとバウンシング。低車高前提のマシンで誤算

2024年3月15日

 2024年F1第2戦サウジアラビアGPでメルセデスが苦戦した理由を、F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが探り、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。


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■高速コーナーで苦しんだメルセデス

 ルイス・ハミルトンによれば、「W15は低速コーナーでは比較的良く、中速コーナーでの挙動もそれほど悪くない」とのことだ。しかし「高速コーナーでは惨憺たるもので、サウジアラビアではそこだけで、ライバルたちに0.5秒遅れた」という。


 実際、ターン6から10までの超高速コーナーの連続する区間で、メルセデスは最も遅い車だった。レッドブルやフェラーリより11km/h遅いだけでなく、予選下位に低迷するアルピーヌと比べても7km/h遅かったのだ。


 ジェッダのような高速サーキットでは、車の最低地上高をできるだけ下げることで、フロア下でのダウンフォースを増大させることが最も効率的だ。しかしメルセデスがこれをやると、W15はまともに運転できないほどの激しいバウンシングが起きてしまう。


 サウジ決勝レースでのメルセデスは低ダウンフォースのリヤウイングを装着したため、ストレートは確かに速かった(そのおかげでハミルトンは、オスカー・ピアストリのマクラーレンを長い間ブロックできた)。しかしその反面、高速での切り返しが連続する区間では、オーバーステアでトリッキーな挙動に苦しめられた。


 バーレーンでは4位のシャルル・ルクレールから7秒遅れで5位フィニッシュしたジョージ・ラッセルだったが、ジェッダでは3位のルクレールに21秒の大差をつけられて6位でレースを終えた。 今季のメルセデスは、明らかに何かが機能していないということだ。


「確かに我々に理解不能なことがある」と、トト・ウォルフ代表は認める。


「低ダウンフォースのリヤウイングのおかげで、ストレートでは速さを発揮できた。しかし高速コーナーでのタイムロスが致命的だった。その欠点はわかっているし、根本的な問題なのも認識している。しかしデータに表れるダウンフォースが、実走でのラップタイムに反映されないのだ」

メルセデスW15
メルセデスW15のリヤウイング比較

■バウンシングの再発

 W15は昨年型W14の欠点を潰し切れていないということか。結論を出すのは時期尚早とはいえ、その兆候はすでに見えている。


 グランドエフェクトカーである最新F1マシンは、車高変化に非常に敏感だ。車高が高すぎるとダウンフォースが減り、パフォーマンスが低下する。低すぎるとバウンシング、ポーパシングに悩まされる。空気力学と車両力学(足回り)の相関関係が、グランドエフェクトを導入した2022年以降、非常に重要になっている中、メルセデスのエンジニアたちはその秘密をまだ完全に理解していないように見える。


 もちろんメルセデスを含めすべてのチームが、サスペンションを通じて空力プラットフォームを適切に制御することの重要性を十分に認識している。しかしここで大きな障壁となるのが、現行規約では禁止されている油圧システムと慣性ダンパーの助けを借りずに、そこに到達することだ。

メルセデスW15とW14
メルセデスW15とW14のリヤウイング比較


 特にメルセデスは、禁止されるまでこれらのツールに大きく依存していた。それもあって彼らは、サスペンションアームの設計やさらに目立たない機械的な要素を利用して、純粋にメカニカルな方法で車体を制御する方法をまだ見つけられずにいる。


 W15はW14とは異なり、できるだけ低い車高で最大限のダウンフォースを発生するように設計されている。今回のジェッダでかなり薄い低ダウンフォースのリヤウイングを選択したということは、エンジニアたちがフロア下で十分なダウンフォースを発生できると確信していたことを示している(2023年のW14と2024年W15のリヤウイングを比較した上の写真を参照)。しかし彼らは、ここまで酷いバウンシングまでは、予期できなかった。ハミルトンは3回目のフリー走行でハイダウンフォースのリヤウイングに一縷の望みを託したものの、残念ながら役に立たなかった。


 メルセデスは3シーズン連続して、ハミルトンとラッセルを失望させ続けるのだろうか?



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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5位ウイリアムズ・レーシング37
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