今季のF1カレンダーには初開催レースがふたつ含まれているが、今週末のバーレーンGPは、そのうちのひとつだ。それゆえ、タイヤを供給するブリヂストンとミシュランにとっては、他とはまた違ったチャレンジを強いられることになりそうだ。
10チームとそれぞれのタイヤ・サプライヤーは、サーキットの性質とその路面について、コンピュータによるシミュレーション・プログラムを駆使して、できる限り綿密に研究してこなくてはならなかった。しかしそれでも、砂の多い路面がどのようなものになるのか、完全に予測することはできそうもない。
ブリヂストンの安川ひろしモータースポーツ・ディレクターは、次のようにコメントした。「マレーシアGPはまだシーズン2戦目だったが、ブリヂストンにとっては重要な到達点となった。この冬、私たちが主目標としてきたのは、暑い中でのタイヤの競争力を高めることだった。ミハエル・シューマッハーが優勝し、ルーベンス・バリチェロが4位、フェリペ・マッサも健闘に相応しいポイントを獲得したことで、先の見通しが開けてきた」
「しかし、この次のバーレーンは、また非常にエキサイティングなレースになりそうだ。新しいサーキットでは普通と違ったチャレンジを強いられるが、私は技術スタッフを完全に信頼している。私たちは、常に実力の向上に努めていくつもりだし、今回もパートナーチームが表彰台に上りポイントを獲得するように頑張りたい」
「もっと一般的なことでいえば、私たちはバーレーンを大変楽しみにしている。一流の施設や歓迎が楽しみなだけでなく、F1にとっては初めてでも、ブリヂストンにとってはなじみの深い土地でレースをするのは非常に嬉しいことだ。中東は、わが社にとって非常に重要な市場なのだ」
ブリヂストン・モータースポーツは、1400本のポテンザ・タイヤを5.417kmのサクヒール・サーキットへ直送する。暑い天候用に新しく開発された、様々なコンパウンドのタイヤだ。うまくいった過去のレース結果と、先週のムジェロとフィオラノでのテストに基づいて、ブリヂストンの技術者たちは、提携4チームに供給するバーレーン用のスペックを4種類にまで絞り込んだ。
菅沼寿夫テクニカル・マネージャーは、次のように述べた。「サクヒール・サーキットの前半部分はタイトコーナーが続くが、後半部分はいくつかの高速ターンから成っている。タイヤの点からすると、これはよく安定したタイヤが必要ということだ」
「大量の砂がコース上に吹き寄せられない限りは、路面はスムーズだと予想されるので、中位からソフトなレンジのコンパウンドが必要となるだろう。そしてもちろん、温度についても慎重に考えねばならなかった。というのも、路面温度は50度以上になると予想されるが、気温は30度を超えないかもしれないからだ。これは、舗装路面の黒っぽい色が、熱を溜めこむのが原因だ。それゆえ、私たちは今回も、いいグリップと耐熱性を発揮するタイヤを用意する必要がある」
「マレーシアでは心強い結果を出すことができたわけだし、私たちにはまさに打ってつけのタイヤがあると思う。一方、ブリヂストンを履く各チームは、今回のレースの準備を手助けするために、これまで以上の働きをしてくれた。彼らのコースシミュレーションのデータは特に役に立ったし、私たちはタイヤの選択について彼らと詳しく話し合った。また、各チームはバーレーンで、ブリヂストンの新形状のフロントタイヤの恩恵を受けるだろう」
「砂については――私たちには分からない。いったいどうなるのか予想は難しいが、砂がコース上に乗ってくれば、グリップは減少するだろう。だがこれは、どうすることもできない“X”ファクターのひとつにすぎない。しかし全体としては、私たちは皆、このレースを心待ちにしているよ!」