ルーベンス・バリチェロのシーズンのスタートは、多忙ではあったが、充実したものとなった。オーストラリアGPでフェラーリはワンツーフィニッシュを遂げたが、バリチェロにはその後、休む暇もない。
バリチェロは、メルボルンでチームメイトのミハエル・シューマッハーに続いて2位でフィニッシュラインを越えるとまもなく、バレンシアでのテストのためにヨーロッパへ戻っていった。
「すごく長いフライトだったよ。でもそれが僕の仕事だからね」
彼は決して自分の作業負担について不平不満を言わない。だが、先週末にシーズン開幕を迎え、テストからいったん開放された事は正直嬉しかったと認めている。
「シーズンのスタートが本当に待ち遠しかった」とバリチェロ。「シーズン前、僕らはかなりのテストを行った。だから早くレースに戻りたかったんだ。メルボルンでグリッドについてレッドシグナルが消えて、良い感じだったよ。特にフロントロウからの景色だったしね。車は予想通りうまく走れていることは確認できた。レースを終えて、フェラーリがいまだトップの座にいられると感じられた。すごく誇りに思うよ。F2004は去年より完璧に近づいている。改良はうまくいったね」
バリチェロにチャンピオンシップの行方について尋ねたが、全18戦の内、わずか1レースが終わったこの時点では、さすがにその答えを聞くことはできなかった。だが、メルボルンで新たなライバルの登場を感じたようだ。
「シーズン開幕前からルノーやBARはかなり良くなっているという話はいろいろ聞いていた。オーストラリアではそれが現われていたんじゃないかな」
「実際フェラーリに関するいろんな思惑は真実でないものばっかりだったんだ。僕らは皆が思ってたよりずっと速かったでしょ」
「シーズン前には、F1評論家は全員ウイリアムズ・BMWのノーズにやられたようだったね。彼らは、速くなるためには見える変化がマシンに無いとダメだと考えているんだ。その証拠にF2004の発表のときにはみんながっかりしていたよ。2003年と大きく変わったところはなかったからね。その結果、僕らのパフォーマンスは悪いだろうと予想されたんだ」
「個人的にはルノーが今年速いだろうと思ってたんだけど、実際速いね。他のチームのこともわかってよかったよ。チャレンジ精神旺盛なBARホンダとかね。でも何より僕らの車がうまくいっているというこの事実に僕はエキサイトしているよ」
週末を通して使用可能なエンジンは1台だけという今年のレギュレーションについて、バリチェロにとっては問題無かった。予選において単純にそのことを頭の中に入れておけばよかったようだ。だが新しい予選の方式にはあまりいい印象は持たなかったという。
「予選初日を金曜日にやっていたときには、僕らはずっと思いっきりプッシュしてたんだ」バリチェロは記憶を呼び起こして語った。「例えば昨年のシルバーストン。僕は初日の予選でスピンしてしまったけれど、翌日のクオリファイでポールを取って挽回し、その結果レースでも勝つ事ができたんだ」
「でも新しい1日だけの予選方式では、セッション前半はエキサイトが少なすぎる。前半はみんなリスクを犯さないようにするから見るべきところは無かったと思う。ファンが見ても楽しめないんじゃないかな。個人的にはやり方を変えて欲しいね。できれば去年のルールに。そう考えているのは僕だけじゃないと思うけど」