先週のオーストラリアGPで肩を落とす結果に終わったトヨタが、スピード向上のため、新型マシンの全面的改良に乗り出す構えでいる。
予算額でフェラーリに次ぐとウワサされるトヨタは、F1参戦3シーズン目の今年の開幕戦で衝撃的な走りを見せるだろうと言われていた。ところが、蓋を開けてみれば12位と13位がやっとのことで、ベテランのオリビエ・パニスに至っては、予選2回目に電気系のトラブルに見舞われてタイムアタックすらできなかった。
次戦は1週間後の19日〜21日にマレーシアで開催されるが、トヨタの新テクニカルディレクター、マイク・ガスコインは、早くも新車のデザイン改良を計画している。トップチームのルノーからトヨタに引き抜かれたガスコインは、グスタフ・ブルーナーによる今年のマシンのデザインについて何も触れないが、今後1戦ごと徐々にデザインを変え、最終的には全面改良を行う考えでいる。
「大改良を計画している。ほぼ1戦ごと徐々に行っていく予定だ」とガスコイン。「マレーシアでは、フロントウイングとターニングベインの一部を新しくする。バーレンではさらに別のパーツを新しくし、イモラではマシン全体の改良を終えたいと考えている」
オーストラリアでは全くの期待はずれの結果に終わったトヨタだが、ガスコインは悪い面ばかりに目を向けてはいない。
「パフォーマンスの面からすれば、12位と13位というのは、もちろん我々が望んでいるような結果ではない」とガスコイン。「だが、良いところもあった。レース中、マシンは2台ともかなりの信頼性があった。速くはないが信頼性はあった。古くからあるモーターレーシングのことわざに、1番でフィニッシュするためにはまず完走しなければならない、というのがあるからね」
「レース中、ハンドリングはかなり一貫性があった。ドライバーはふたりとも、バランスがかなり良かったと言っていた。要するに、マシンは空力面とタイヤ面の両方でグリップ力が十分でなかったということだ。レースで後方を走るようなときは、問題がどんどん積み重なって出てくるもの。コースを周回中、ドライバーは速いマシンに道を譲るためにラインを外れなければならず、そうなればタイヤに泥がつき、スピードがさらに落ちていく。それが原因で、この前は2ラップも周回遅れになったが、結果ほど悪いレースではなかった」
ガスコインはまた、トヨタのエンジン部門の仕事を賞賛し、メルボルンでの不甲斐ないパフォーマンスの中で、エンジンだけは素晴らしい仕上がりだったと述べた。
「色々と言ってきたけれど、エンジンだけはまったく問題がなかったことをここで付け加えておきたい。ルカ・マルモリーニと彼のチームは素晴らしい仕事をしてくれた。これなら選手権でタイトルを獲れるだろうと私が考えるエンジンに仕上げてくれた。我々が目下直面している問題はシャシー、特に空力だ。しかし、この状況を打破するための計画はすでに立ててある」
トヨタは昨シーズン、元フェラーリの従業員がフェラーリのマシン情報をチームに漏らしたのではという嫌疑がかけられた。捜査ではいまだ明確な証拠が見つかっていないが、フェラーリはオーストラリアでの開幕戦でトヨタとは対称的に最大の18ポイントを獲得しているだけに、何の心配もしていないようだ。