F速

  • 会員登録
  • ログイン

F1技術解説:第13戦(2)“ホワイト・フェラーリ”を堂々投入。ハースが今季初のアップグレード

2022年8月9日

 2022年F1第13戦ハンガリーGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「戦略失敗だけでは説明できないフェラーリの大失速」 に続く今回は、ハースが今季初めて導入したアップデートを紹介する。


────────────────────────────────


 ハースが今季初、そして唯一となるであろう大幅アップデートを投入した。ここまで改良版が遅れたのは、F1最小チームのひとつであるハースの資金難から来るものだろうか。それは確かにあるだろう。しかしそれだけではない。


 2016年のF1デビュー以来、このチームのマシンのほとんどはダラーラ社のエンジニアが設計し、フェラーリの風洞で作業を続けてきたハースの空力エンジニアたちが完成させてきた。しかし今回のVF-22はハースとしては初めて、ダラーラではなく自チームのエンジニアがコンポーネントを設計したマシンである。


 ブダペストまでマシンを作り直すのを待ったのは、レース現場から学ぶためであり、可能なすべてのメカニカルパーツを購入しているスクーデリアからも学びたかったからだ。実際、下の写真のように、ポンツーンのデザインは赤い車のそれを連想させる。ただしハースはコンストラクターとして、たとえマラネロの風洞でシミュレーション作業を行っていても、自ら車体を制作しなければならない。

ハースVF-22 サイドポッド&フロア比較
ハースVF-22 サイドポッド&フロア比較


ハースVF-22 フロアフェンス比較
ハースVF-22 フロアフェンス比較


「ホワイトフェラーリ」とも揶揄される今回のアップデートについて、ギュンター・シュタイナー代表はこう反論している。


「もし、誰かが私たちのマシンがパクリだと言うなら、私はこう答えるだろう。ではフェラーリ以外の何を真似るべきだったのか。ウイリアムズか? 失礼な言い方だが、ウイリアムズとはコンセプトが違うし、順位も我々の後ろだ」


「もし、何かをコピーするのであれば、ベストなものをコピーしたほうがいい。今はそれはレッドブルとフェラーリだ。そして我々はフェラーリと同じエンジン、トランスミッション、サスペンションを搭載している。フェラーリ以外のマシンをコピーする必要はない。F1-75はレースに勝つマシンだし、我々は愚かではない」


「今のF1にはフェラーリ、レッドブル、メルセデスの3つのコンセプトがある。我々はスクーデリアと近い関係にあるので、彼らがやってきたことを見て、それを真似たのだ(下のフェラーリとの比較写真参照)。さらに何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを確認したかったので、時間をかけて検討した。その後、風洞の作業を行った。非常に長いプロセスだったよ」


フェラーリF1-75とハースVF-22のサイドポッド比較
フェラーリF1-75とハースVF-22のサイドポッド比較

 ハースがシーズン中に大幅アップデートを行うのはほとんど2019年以来ということで、彼らはいっそう慎重な姿勢で臨んだ。というのもこのシーズンは、スペインで登場したVF-19の新パーツが期待どおりに機能せず、マシンから取り外され、そのままの姿で残りの選手権を戦った苦い記憶があったからだ。


 この失敗がトラウマになり、同じ過ちを繰り返したくないという思いから、特に空力技術者たちは新しいパーツが意図したとおりに機能するよう、必要な時間をかけたのだった。


「新パーツとセッティングの相性を確認したい、という思いがあった。セッティングに合わないから使えない、などというアップデートは絶対に導入したくなかった」とシュタイナーは言う。


「2018年はいいクルマがあり、持ち込んでいた開発もうまくいっていた。ところが2019年は、自分たちの開発がうまくいっていないことに怯えるようになった。2020年、2021年は、新しいパーツは持ってきていない。『2019年の失敗を繰り返さないために、じっくりと全力を尽くそう』と自分たちに言い聞かせたんだ」



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


レース

9/5(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
9/6(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
9/7(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※イタリアGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ324
2位ランド・ノリス293
3位マックス・フェルスタッペン230
4位ジョージ・ラッセル194
5位シャルル・ルクレール163
6位ルイス・ハミルトン117
7位アレクサンダー・アルボン70
8位アンドレア・キミ・アントネッリ66
9位アイザック・ハジャー38
10位ニコ・ヒュルケンベルグ37

チームランキング

※イタリアGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム617
2位スクーデリア・フェラーリHP280
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム260
4位オラクル・レッドブル・レーシング239
5位ウイリアムズ・レーシング86
6位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム62
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム61
8位ステークF1チーム・キック・ザウバー55
9位マネーグラム・ハースF1チーム44
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第16戦イタリアGP 9/7
第17戦アゼルバイジャンGP 9/21
第18戦シンガポールGP 10/5
第19戦アメリカGP 10/19
第20戦メキシコシティGP 10/26
  • 最新刊
  • F速

    F速 2025年10月号 Vol.4 後半戦展望号