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F1技術解説:第8戦(1)フェラーリの速さに貢献した新リヤウイング。馬力優先の結果、トラブル続出のパワーユニット

2022年6月16日

 2022年F1第8戦アゼルバイジャンGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回では、フェラーリの向上に一役買った新たなローダウンフォース・リヤウイングと、懸念されるパワーユニットの状況について分析する。


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 アゼルバイジャンGPでのフェラーリは、少なくとも理論上は、優勝する可能性が高かった。


 強大なダウンフォースを発生するF1-75は、バクー旧市街の低速コーナーが速く、フロントタイヤの温度も早く上がった(シャルル・ルクレールは第2セクターでセルジオ・ペレスに0.327秒差をつけた)。さらにフェラーリはここで今シーズン初めて、低ダウンフォースのリヤウイングを装着した(マイアミにも持ち込んだが未使用だった)。

フェラーリF1-75のリヤウイング比較
フェラーリF1-75のリヤウイング比較

 そのおかげでF1-75は、ストレートエンドでのタイムロスが通常より少なかった。フェラーリは加速に優れるため、ストレートの立ち上がりではレッドブルより速いが、通常は、終盤にそのアドバンテージを失う。ホンダ製パワーユニットの方が、電気エネルギーを長く使えるためだ(フェラーリ製PUは早く使えるので、排出も早い)。


 しかしバクーで、マックス・フェルスタッペンはDRSの助けを借りたにもかかわらず、ルクレールをパスできなかった。今回のF1-75はストレートでも十分に速く、レッドブルを抑え込むことができたわけだ。


 だが、これまで毎年優勝者が変わっているバクーでは、レースが予想どおりに進むことはほとんどない。今回も波乱の展開となった。9周目のカルロス・サインツに続き、優勝大本命だったルクレールも21周目にエンジントラブルでリタイアを喫したのだ。

■強いが壊れやすいパワーユニット

 昨年より明らかにパワーアップしたフェラーリの066/7は、レッドブル・パワートレインズ(ホンダ)より5馬力、メルセデスより10馬力、ルノーより15馬力優れているといわれる。さらにトルク性能にも優れ、より柔軟なギヤ比に対応できるようだ。


 これまでパワー面で遅れをとってきたフェラーリは、信頼性を犠牲にしてでも馬力を求めるアプローチを取った。しかしその結果、スペインではルクレールがターボとMGU-Hを壊してレースを失った。モナコでは、ハースとアルファロメオのMGU-Kに3つのトラブルが出た。バクーでは、ルクレール以外にケビン・マグヌッセン(ハース)もV6フェラーリのターボとMGU-Hがトラブルに見舞われた。


 現時点で、フェラーリはバクーでのルクレール車のPUトラブルの原因を公開しておらず、どの部品を交換しなければならないかも明らかにしていない。もしV6エンジン、MGU-K、MGU-Hが関係するトラブルだとすれば、エレメント交換によるペナルティを受けるまで、いずれもあと1基の余裕がある。しかしターボチャージャーの交換が必要であれば、すでにに3基使っているのでペナルティを課されることになる。

2022年型フェラーリF1のパワーユニット
2022年型フェラーリF1のパワーユニット

 そうなるとタイトル獲得の可能性が、さらに危うくなってしまうかもしれない。ルクレールはバルセロナとバクーでトラブル、モナコではチームの戦略的ミスのために勝利を逃し、すでにフェルスタッペンに34ポイント差をつけられている。第3戦オーストラリアGP終了後には、同じポイント数リードしていたが、あっという間に立場が逆転した。今季序盤、レッドブルを襲っていた信頼性の問題が、今は一転してフェラーリを苦しめている。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


レース

11/29(金) フリー走行 22:30〜23:30
スプリント予選 26:30〜27:14
11/30(日) スプリント 23:00〜24:00
予選 27:00〜
12/1(日) 決勝 25:00〜


ドライバーズランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン403
2位ランド・ノリス340
3位シャルル・ルクレール319
4位オスカー・ピアストリ268
5位カルロス・サインツ259
6位ジョージ・ラッセル217
7位ルイス・ハミルトン208
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ63
10位ニコ・ヒュルケンベルグ35

チームランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム608
2位スクーデリア・フェラーリ584
3位オラクル・レッドブル・レーシング555
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム425
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
6位マネーグラム・ハースF1チーム50
7位BWTアルピーヌF1チーム49
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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