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【F1技術解説】サスペンション規定変更がもたらす大きな影響(1)油圧システムは禁止、機械式で姿勢を制御

2022年2月21日

 2022年のF1マシンでは、サスペンション担当の開発エンジニアに最大の負荷がかかりそうだ。この領域の技術規約が大きく変更された結果、ほとんどゼロから作り直す必要があったからだ。


 F1マシンのサスペンションは、大きく3つの役割を担っている。まずシャシーと4輪をつないで、路面のうねりやバンプといった凹凸を吸収し、4本のタイヤのグリップをうまく配分することだ。


 次に車両のダイナミクス、つまり加減速や方向転換時のシャシーの挙動を管理する。最後に、空力的要素である。車体表面を流れる空気の流れに対し、車体を正しく位置決めする役割だ。車が空力的にうまく機能するためには、路面に対して一定の位置を維持する必要がある。車体の姿勢はトーションバーの硬さの変化やショックアブソーバーの硬さなど、サスペンションによって決定される。


 一方で今季からF1のサスペンションはフロント、リヤともに複雑な油圧システムが一切禁止され、機械式一択になった。その影響は、とてつもなく大きい。というのもF1マシンのサスペンションは、車の速度に応じて特性を変えるシステムを採用しているからだ。


「低速ではかなり柔らかく、加速すると硬くなり、ある速度を超えると再びしなやかになるサスペンションだ」と、アストンマーティンのテクニカルディレクター、アンドリュー・グリーンは説明する。


「コーナーの種類によってサスペンションの硬さが変わるわけだが、高速コーナーを抜けてストレートに入ると、再びサスペンションを柔らかくして車体を地面に近づけ、抵抗を減らすようにしている。昨年までは機械式と油圧式で、かなり複雑なシステムが実行できていた。それが純粋に機械式だけになる今シーズン、同じことをするのは非常に難しくなるだろう」

セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)
シルバーストンでAMR22をドライブするセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)

 複雑な油圧システムが一切禁止されるため、たとえばフロントショックアブソーバーの働きを補助するためにポンツーンの片方に装着されていたガスショックアブソーバーのように、ショックアブソーバー同士を連結することもできなくなった。今後はすべてを相互接続することなく、フロントかリヤに配置する必要がある。

2021年アルファロメオC41
2021年アルファロメオC41

 さらにリヤアクスルを下げて、ディフューザーをニュートラルにするシステムも許されなくなった(昨年後半、ストレートでメルセデスの最高速が異常に速かったのは、このシステムを洗練させたおかげだった)。またタイヤの振動の跳ね返りを吸収するイナーシャダンパーも除外されている。


 空力性能を100%発揮するには、コーナーごとの緻密な車高管理が欠かせない。しかし今季はトーションバー、アンチロールバー、従来のダンパーとスプリング(ダイブダンパー)を使ってロールとダイブを制御することしかできなくなるということだ。


(第2回に続く)



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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