F1速報

  • 会員登録
  • ログイン

【F1第16戦無線レビュー(2)】「もしこのペースでいけたら何位だ?」首位の座を守り切ろうとしたルクレール

2021年10月19日

 2021年F1第16戦トルコGPの決勝レース。中盤には各車タイヤ交換を行ったが、シャルル・ルクレールやルイス・ハミルトンはステイアウトを選択した。他車のピットインにより首位に立ったルクレールは、なんとかその座を守り切ろうとするが、背後にはバルテリ・ボッタスらが迫っていた。トルコGP後半を無線とともに振り返る。


────────────────────


マックス・フェルスタッペン:最終区間でかなり手こずってる!


 タイヤのタレに苦しんだ2番手フェルスタッペンは、首位バルテリ・ボッタス(メルセデス)との差が5秒8まで広がり、36周目にピットイン。次周にはボッタスも入って、ステイアウトを決めたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が首位に立った。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第16戦トルコGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)


ルクレール:レースの最後まで、このセットで行けるかな
マルコス・パドロス:行けるぞ


 しかし43周目以降ペースが落ち、2番手ボッタス、3番手フェルスタッペンに一気に差をつめられていく。


 一方、ルクレール同様ステイアウトを決断し、4番手まで順位を上げたルイス・ハミルトン(メルセデス)も、フェルスタッペンとの差をジリジリと詰めていた。ところが42周目、ピーター・ボニントンからピットインの指示が飛んだ。


ボニントン:ボックスだ
ハミルトン:なぜだ?
ボニントン:新品のインターの方がいいからだ
ハミルトン:そうは思わない


 真っ向から反論するハミルトン。


ハミルトン:ステイアウトするよ
ボニントン:もう1周だけだ


 公開された無線のやりとりを聞く限りでは、ボニントンはピットインの根拠をはっきりと説明していない。フェルスタッペンと遜色ないペースで走り続けるハミルトンにしてみれば、納得のいかない指示だったことだろう。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第16戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 首位ルクレールとボッタスのギャップは38周目の6秒8から、44周目には1秒2まで縮まっていた。


ルクレール:まだピットインしてないのは誰?
パドロス:ハミルトンとオコンだ


 パドロスは背後のボッタスやフェルスタッペンの新品インターミディエイトタイヤでのラップタイムを頻繁にルクレールに伝え続け、同時にピットインのタイミングを探っていた。


パドロス:路面コンディションのアップデートを頼む
ルクレール:ところどころでドライになっている感じだ


ルクレール:もしこのまま、このペースで行けたら何位だ?
パドロス:ボッタスが後ろなら、1位だ


ルクレール:う〜ん、もうタイヤがクソだ


 45周目にはふたりの差は0秒6に。ペースに勝るボッタスに抜かれるのは、時間の問題だった。


パドロス:ここでピットインしたら、ハミルトンの5秒後ろだ。コース上で彼を抜ければ、3位だ
ルクレール:もしこのまま36秒5のペースで走り続けたら?
パドロス:P4だ。でもリスクは大きい。ここでピットインして、あと12周プッシュすべきだ
ルクレール:わかった。でも35秒5をキープできたら、それでもピットインすべきかな
パドロス:もしボッタスを防げるのなら、このまま行こう。無理ならすぐにピットインだ
ルクレール:すぐにピットインする

シャルル・ルクレール(フェラーリ)&バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第16戦トルコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)&バルテリ・ボッタス(メルセデス)


 首位の座をなんとしても守り切りたいというルクレールの心情が、このやりとりから伝わってくる。前戦ロシアGPで必死に首位を守ろうとしたランド・ノリス(マクラーレン)とまさに酷似した状況だったが、ルクレールは致命傷を負う前にピットインを決断。4番手でコースに復帰した。


 これでハミルトンは3番手に浮上した。


ボニントン:タイヤ状態をアップデートしてくれ
ハミルトン:リヤが滑ってる。でも大丈夫だ!


 吐き捨てるような口調のハミルトン。限界に来たタイヤをなんとか持たせようと、悪戦苦闘している感じだ。49周目、ボニントンからピットインの指示が出た。


ボニントン:OKルイス、今ピットインだ。ガスリーとギャップを築く最後のチャンスだ
ハミルトン:確かなのか? わかった

2021年F1第16戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第16戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 50周目にピットインしたハミルトンは、ルクレールの4秒後ろ、ガスリーの3秒前の5番手でコース復帰した。その順位とギャップを聞いたハミルトンは、すぐに不平を漏らした。


ボニントン:ガスリーは3秒後方だ
ハミルトン:くそ! 何であのペースを捨てたんだ?
ボニントン:いずれにしても、順位を落としてた


 タイヤ交換後3周ほど走ったハミルトンは、グレイニングが出てペースが伸びない。


ハミルトン:今、何位なんだ?
ボニントン:P5だ
ハミルトン:ひどいグレイニングだ。言っただろう!
ボニントン:わかったよ、ルイス。(ピットイン前)ペレスとの差は、詰められてたんだけどね。でもそれについては、あとで話そう


 レース終盤にはガスリーに1秒前後まで迫られ、5番手キープも危うい状況だった。


ボニントン:ガスリーが1秒後ろだ
ハミルトン:ほっといてくれ!

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第16戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 思わずキレるハミルトン。それでもなんとか5位で滑り込んだ。今季ここまで一度も勝てずに来たボッタスが、終始危なげないレース運びで待望の1勝を挙げた。


リカルド・ムスコーニ:圧倒的なパフォーマンスだったぞ
ボッタス:ははは! やったぞ!


 レッドブルはフェルスタッペン2位、ペレス3位のダブル表彰台。ペレスにとっては6月のフランスGP以来、実に10戦ぶりの表彰台となった。


ヒュー・バード:チェコ、表彰台に復帰したぞ。表彰台だ
ペレス:長かったよ
クリスチャン・ホーナー:表彰台に行けると、言った通りだっただろ


 ボニントンは5位入賞のハミルトンの労をねぎらいつつ、「無線で話したことを、もう一度話そう」と、あらためて伝えていた。今回はいつも以上に緊迫したやり取りだったが、こんなふうにレース後にじっくり話し合うことで、ふたりの強い信頼関係は保たれているのだろう。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)




レース

5/24(金) フリー走行1回目 20:30〜21:30
フリー走行2回目 24:00〜25:00
5/25(土) フリー走行3回目 19:30〜20:30
予選 23:00〜
5/26(日) 決勝 22:00〜


ドライバーズランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン161
2位シャルル・ルクレール113
3位セルジオ・ペレス107
4位ランド・ノリス101
5位カルロス・サインツ93
6位オスカー・ピアストリ53
7位ジョージ・ラッセル44
8位ルイス・ハミルトン35
9位フェルナンド・アロンソ33
10位角田裕毅15

チームランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング268
2位スクーデリア・フェラーリ212
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム154
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム79
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム44
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム20
7位マネーグラム・ハースF1チーム7
8位BWTアルピーヌF1チーム1
9位ウイリアムズ・レーシング0
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

レースカレンダー

2024年F1カレンダー
第8戦モナコGP 5/26
第9戦カナダGP 6/9
第10戦スペインGP 6/23
第11戦オーストリアGP 6/30
第12戦イギリスGP 7/7
  • 最新刊
  • F1速報

    Vol.5 第5戦中国GP & 第6戦マイアミGP