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【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】説明不足が招いたニキータの不信感。ドライバー間の取り決めを見直しへ
2021年9月10日
2021年シーズンで6年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。36年ぶりのオランダGPは改修工事を終えたザントフォールトで行われ、小松エンジニアも約20年ぶりにこの地を訪れた。だがそのオランダGPはドライバーの間で問題が相次ぎ、一筋縄ではいかない週末に。現場の事情を小松エンジニアがお届けします。
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2021年F1第13戦オランダGP
#9 ニキータ・マゼピン 予選20番手/決勝リタイア
#47 ミック・シューマッハー 予選19番手/決勝18位
昨年復活予定だったオランダGPをようやく迎えることができました。ザントフォールト・サーキットはそれぞれのコーナーに特徴があってとてもおもしろかったです。以前行ったのはもう20年ほど前(琢磨くんとF3のマスターズで行ったきりでした)なのですが、すっかり変わっていました。
コースを解説すると、まずややキャンバーのついている1コーナーへの進入は狭く、アンダーステアに苦しめられました。3コーナーのアプローチにある2コーナーもアンダーが出て、なかなか思うようにクルマをポジショニングできず。続く3コーナーはかなりキャンバーがついており、FP1で走り始めた当初はラインがいくつかあって、ドライバーによって違うアプローチが見られておもしろかったです。
3コーナーを立ち上がって全開で登りながら向かう先の7コーナーはタイヤにとても厳しいコーナーです。そこからさらに右コーナーがふたつ続くのですが、どんどんとRはきつくなっていきます。しっかりとブレーキを踏んだ後の9コーナーから10コーナーへの繋がりは風の影響もあり、クルマのバランスがアンダーステアからオーバーステアに変わります。
その後、追い風を受けながら11コーナーへのブレーキング。ここは風の影響で多くのドライバーが苦労していました。ここでミスをすると続く12コーナーに入る前にグラベルに突っ込むことになります。フリー走行ではここでグラベルにハマったドライバーにより赤旗が出ました。
続く13コーナーの外側にもグラベルトラップがありますが、あんなにバンクのついたグラベルエリアを見るのは初めてです。ここを立ち上がったら大きなバンクがついている最終14コーナーを全開で抜けて1周が終わります。
どのコーナーも映像で見て一目でそれぞれどこのコーナーかがパッとわかるくらい特徴があり、グラベルが本来のトラックリミットの役割りを果たしていたりと、とても挑戦しがいのあるサーキットでしたが、オーバーテイクがかなり難しいのが難点でした。
バンクのついたコーナーがあるので、パワーユニット(PU)への影響も心配されましたが、フェラーリPUに関しては特に問題はありませんでした。ウチは3機目のエンジンを投入したのですが、まったく問題なく週末を通して走れました。レースでは残念ながらニキータのクルマに油圧系の問題が出てしまいリタイアとなりましたが、これは特にコースに起因するものではありません。
今回おもしろかったのは、路面にラバーが乗るにつれて、レーシングラインもどんどん変わっていったことです。先にも書きましたが3コーナーなどはこれが顕著でした。FP1では様々なラインがあったものの、ラバーがのってきたFP2からは最適なラインはほぼひとつしかありませんでした。
また通常のサーキットと比べると予選中でもラップタイムの変化が大きかったです。これはフリー走行中に赤旗が数度出て実際に走れる時間が比較的少なかったことや、刻々と変わる風の状況に対するドライバーの慣れもあったと思います。ウチに関してはふたりともFP3でのクルマの挙動に比較的満足していたので、予選に向けてのセットアップ変更はほぼ通常どおりの路面の変化を考慮にいれて行いました。
そして今回は(も)週末を通して風の変化がクルマの挙動に大きく影響しました。全体的な風向き自体は安定しており、常に11コーナーへのブレーキングで追い風となっていました。10コーナーなどはコーナーの真ん中あたりでクルマが受ける風向きが変わるので、バランスがガラっと変わります。FP2ではFP1に比べて風が強くなり、セッション中は常にコンディションが安定しなかったので、なかなか難しいセッションとなりました。風で飛んでくる砂の影響も懸念してはいたのですが、僕らが走る直前に他のシリーズの走行があったおかげか、予測していたほど影響はありませんでした。
■走行ポジションをめぐって一悶着。ドライバー間の取り決めを見直しへ
予選ではニキータとミックの間でポジションをめぐって問題が起こりました。当時の状況を説明すると、ウチは予選でコースに出て行く順番を毎レース変えているのですが、今回はニキータが先、ミックが後という順番でした。Q1では、2回目のランのアウトラップでニキータは遅めのアウトラップ、ミックは速めのアウトラップが必要だと明らかだったので、最後のランではミックのエンジニアに、もっとニキータと間隔をあけて送り出すように指示しました。
しかし、ピット出口で多くのドライバーが前との間隔を開けるためにスローダウンしたので、結局はミックがニキータのすぐ後ろという形になりました。ここでミックは「前のニキータを抜いていいか?」と無線で聞いてきたので、「抜くなら早い段階で、3コーナーの出口で抜くように」と指示を出しました。この際ニキータにすぐにしっかりと説明しきれず、ニキータは「何故ミックは自分を追い抜いたんだ」と不信感を募らせます。
その後ミックは前のランド・ノリス(マクラーレン)も抜き、12コーナー出口で前のクルマに従ってスローダウンし始めましたが、この時ニキータとの間隔も4秒近くあり問題ありませんでした。しかし12コーナーを立ち上がったところで、ニキータはスピードを上げ、ノリスを抜き、さらに13コーナー入り口でミックも追い抜こうとしました。これは想定外でしたね。さらにここにアタックラップ中のセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が来て、ウチのドライバーふたりでセバスチャンを妨害することになってしまい、大変申し訳なかったと思っています。
もちろん予選後にギュンター(・シュタイナー/チーム代表)とふたりのドライバーとすぐに話し合いの場をもちました。言わなければいけないことはすべて言ったので、これを踏まえて再度モンツァでこれからどういう方針でいくかを決めます。
決勝レースに関しては、ウチにとってはハードタイヤよりミディアムタイヤの方が使いやすかったですね。これはVF-21の性能によるところが大きいです。やはりクルマがあまりよくないと、どうしてもタイヤをうまく使える範囲が狭まってくるのです。逆にクルマがよくなると、どのタイヤでも使える幅が広がります。ザントフォールトのようなサーキットでは追い抜かれる心配がないので、それぞれのタイヤにあうように適度にコーナーリング速度を抑えてタイヤへの入力を管理してやればハードでもミディアムでも見た目上は似たようなラップタイムで走り続けることができます。しかし、もし2種類のタイヤで同じようにプッシュして走れば、また結果は違ってきます。
ウチのふたりのレースについては、残念ながらあまり言えることはありません。1周目の終わり、ピットストレートでのニキータのミックに対する動き方はハッキリ言って感心できません。ミックもここで引けばよかったものの、引かずに結果としてフロントウイングを破損することになりレースが台無しになりました。予選の問題も含めて、ニキータとミックの間での取り決めを見直す必要があります。バトルをするなかでもふたりにはお互いにチームメイトとして尊重しあい、チームを背負ってレースをしているんだという認識をしっかりと持ってもらいたいものです。
(Ayao Komatsu)
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4/18(金) | フリー走行1回目 | 22:30〜23:30 |
フリー走行2回目 | 26:00〜27:00 | |
4/19(土) | フリー走行3回目 | 22:30〜23:30 |
予選 | 26:00〜 | |
4/20(日) | 決勝 | 26:00〜 |


1位 | ランド・ノリス | 77 |
2位 | オスカー・ピアストリ | 74 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 69 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 63 |
5位 | シャルル・ルクレール | 32 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 30 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 25 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 18 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 151 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 93 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 71 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 57 |
5位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
6位 | ウイリアムズ・レーシング | 19 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 7 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

