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【F1インタビュー】古巣復帰のアロンソ、チームの進歩やシーズン予想を語る。自身への評価には「笑うしかないね」

2021年4月6日

 アルピーヌから3年ぶりにF1復帰を果たしたフェルナンド・アロンソが、限られた各国ジャーナリストを対象にしたルノー主催のリモート囲み取材に応じた。今シーズンの抱負にとどまらず、これまでのF1キャリアの振り返り、かつての僚友ルイス・ハミルトンや母国のドライバー、カルロス・サインツJr.の評価、自身の悪評についてなど、普段の取材では触れない話題まで縦横に語ってくれた。


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──アルピーヌの今季の戦闘力については、どんなふうに見ていますか。


フェルナンド・アロンソ(以下、アロンソ):昨年の戦いぶりを見ても、確実に進化している。そして今年は首脳陣も一新して、今まで以上に強化されたと思う。特にMotoGPからやってきた(レーシングディレクターの)ダビデ・ブリビオには期待している。もちろん馴染みのないF1の世界に戸惑うことはあるだろう。でもその時は、僕がいろいろ教えてあげるつもりだ(笑)。ダビデには何より臨機応変の対応力があるし、だからこそ2輪であれだけの成功を収めてきた。そしてルノーCEOのルカ・デ・メオも、強力なリーダーシップを発揮してくれるはずだ。

ダビデ・ブリビオ(アルピーヌ レーシングディレクター)&フェルナンド・アロンソ
2021年F1第1戦バーレーンGP ダビデ・ブリビオ(アルピーヌ レーシングディレクター)&フェルナンド・アロンソ


──フェラーリを去って以来、優勝どころか表彰台にも上がれていません。あのままフェラーリに残っていればよかったと思ったことはありますか?


アロンソ:後悔したことは一度もないよ。フェラーリを去った決断に限らず、これまでのレースキャリアで何かを後悔したことは一度もない。もし自分が水晶玉を持っていれば、迷わず正しい道を選択しているだろう。僕も何度も間違いを犯してきた。でもそのこと自体に後悔はない。アルピーヌに移籍したことも、もちろん正しい選択だと信じている。そして万一、期待したような結果が得られなかったとしても、それに対して後悔することはない。


──スペインではいうまでもなく、あなたのF1復帰を待ち切れない思いでいます。話を聞いた誰もが、「フェルナンドは今年勝てるのか」と逆に訊いてきます。今年中に勝てますか?


アロンソ:(苦笑)スペイン国民が興奮してくれていることには、うれしい気持ちしかない。さっきも言ったようにアルピーヌは素晴らしいチームだし、雰囲気も最高だ。古巣に戻ってこれたことを、本当によかったと思っている。かつての仕事仲間だけでなく、その後チームに加入したスタッフも含め、みんなが暖かく迎えてくれたしね。


 ただ冷静に考えれば、今季は大幅なマシン変更もないし、基本的には昨年の各チーム間の力関係が継続されると思う。昨年後半の戦闘力、勢いが持続できてれば、何度か表彰台に上がることは十分に可能だと思っている。でも優勝はどうかと言われれば、よほどのことがない限りむずかしいだろうね。

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)


──カルロス・サインツJr.(フェラーリ)のことは、どう見ていますか。


アロンソ:フェラーリへの移籍は、自分のことのように嬉しかったよ。マクラーレン時代のカルロスは着実に実績を積み上げていて、それが正当に評価されたということだからね。カルロスなら必ず、かつてのような強いフェラーリにしてくれると思っている。


──テストの結果から、今季はメルセデスの苦戦が予想されています。あなたの意見は?


アロンソ:いや、彼らは必ず復調する。今は確かにレッドブルが速さを見せているけど、必ず追いつくはずだよ。最終的には彼らが、「終わってみたら今年も」という結果を出すんじゃないかな。


──ではルイス・ハミルトン(メルセデス)がミハエル・シューマッハーの最多タイトル記録を破ると予想しますか?


アロンソ:ミハエルが7回という記録を作ったとき、「今後誰も(彼の記録を)破れない」とみんなが言っていた。それを思えば、十分に可能性はあると思うよ。


──2年のブランクがあるわけですが、実際にアルピーヌの新車で走ってみて、3年前のF1マシンとのフィーリングの違いは感じましたか。


アロンソ:チームが違うから、もちろん直接比較はできない。でもこの2年のF1全体の進化は、十分に感じたね。より速く、ブレーキのパフォーマンスも確実に上がっている。コーナリング時のグリップも上がっているし、何よりエンジンがパワフルだ。直線で速いだけでなく、ドライバビリティも向上している。すべてがより強力に、そして洗練されたものになっていると感じたよ。

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)


──あなたは現役最高のドライバーのひとりという評価がある一方で、最も難しいチームメイトとも言われています。それについては、どう思っていますか。


アロンソ:笑うしかないね。


──その悪評は、事実ではないと。


アロンソ:今まで何度も移籍を繰り返してきたけど、チームメイトも含めスタッフたちとの関係はどのチームでも良好だった。今回の自転車事故の際も、ルノー時代のチームメイトだったヤルノ(・トゥルーリ)がたまたま入院した病院の近所に住んでいてね。事故を知ってすぐに連絡をくれて、「必要なものがあったら、僕がスーパーで買って届けるよ」と言ってくれたりした(笑)。ヤルノに限らず、過去のチームメイトと険悪な関係になったことはないよ。今年のエステバン(・オコン)にしても、先週一緒にゴーカートで遊んだばかりだしね。F1以外でも、たとえばトヨタのドライバーとも同じだった。笑うしかないと言ったのは、そういうことさ。


──そのオコンはあなたについて「39歳というより、28歳ぐらいに見える」と言っていました。あなた自身は、どう感じていますか。


アロンソ:僕自身は、39歳だと感じている(笑)。28歳だったらいいけど、実際は39歳だしね。でもドライバーとしては肉体的にも十分にやれると思っているし、その準備もできてるよ。むしろ精神的な準備のほうがこの世界ではむずかしい。他のすべてを犠牲にして、F1に集中する必要があるからね。それは若い時の方がやりやすいことだ。でも今の僕は、それも準備万端だよ。それにしてもこういう取材を受けると、年齢のことを必ず訊かれるよね(苦笑)。ルイスは36歳だし、キミ(・ライコネン)は僕より年上じゃないか(笑)。

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP 左からアラン・プロスト、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、カルロス・サインツ

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第1戦バーレーンGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


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