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【2021年F1新車技術解説】アルファタウリAT02:ダウンフォースを取り戻す工夫とフロント部の改良
2021年3月5日
2021年F1プレシーズンテストが近づくなか、各チームのニューマシンが次々に発表され、シェイクダウンが行われている。F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが、アルファタウリの2021年型マシン『AT02』の分析を行った。
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アルファタウリの新車AT02は、一見すると前年型AT01から多くを引き継いでいる。AT01は現在のテクニカルディレクター、ジョディ・エギントンがゼロから開発した初めてのF1マシンであり、車体前部の空力コンセプトはレッドブルとは違う独自路線を貫いた。AT02も、そのコンセプトを踏襲している。
ではAT02の主な変更点はどこだろう。2021年シーズンの技術規約変更の肝は、マシン後部のダウンフォース削減である。フロア面積の縮小やミニウイングの廃止、さらにディフューザーの垂直スプリッターも短くなった(下の写真の黄線参照)。エギントンはそのダメージをいかに抑えるかに、最大限の努力を集中しているように見える。
フロアのクローズアップでは、AT01にあった切り欠きやミニウイングがなくなっていることがわかる(下の写真:黒、青矢印)。代わりに空力技術者たちが考え出したのが、フロアの端を湾曲させることだった(下の写真3枚目:赤矢印)。さらにそのすぐ前には、わずかにカーブしたデフレクターを設置した(下の写真3枚目:オレンジ色矢印)。去年までこの場所にあった複数の切り欠きやミニウイングが起こしていた渦流を、これらで代替させようというわけだ。フロア下に乱流が入るのを防ぐ目的で、リヤタイヤ前のフロアには1本の長い切り欠きに沿ってリード状のパーツも取り付けられた(下の写真2枚目:黄色矢印)。
一方リヤウイングの支柱は、これまでの1本から2本となった(下の写真参照)。
さらにサイドポンツーンには、メルセデスやレッドブル、マクラーレンですでに採用されている数本のスリットの入った「ベネチア風ブラインド」のようなパネルに形状変更された(下の写真1枚目:黄色矢印)。ちなみにこのパネルはエアインテーク前の空力パーツとの連結の仕方も変わり(下の写真:緑矢印)、さらにバージボードにはウイングレットも加わった(下の写真1番上:赤矢印)。
これらの措置で、去年より速いマシンになっているのだろうか?「それに答えるのは、まだ時期尚早だ」とエギントンは言う。「現時点で言えるのは、開幕の段階でのダウンフォースは、去年のシーズン中盤のレベル程度だということだろうね」。
■開発トークンを使って改良したマシン前部。詳細が明かされるのは公式テストか
FIAが許可した開発トークンを、アルファタウリはマシン前部の改良に使用した。ノーズ形状を細身にし、フロントサスの設計を見直したのだ。新設計のノーズは、新たなクラッシュテストに合格する必要があった(モノコック自体はAT01と同じなので、再試験は必要ない)。


「フロントサスを変更することで、ようやく2020年のレッドブルテクノロジーの技術を導入することができた」と、エギントンはその意義を語る。つまり昨年のレッドブルRB16のフロントサスを、今回そっくり移植した可能性が高い。
ただし新車発表の際のAT02のフロント部分は、AT01に今季用カラーリングを施したものだった。その後のシェイクダウンでも、詳細を示す写真はほとんど発表されていない。フロント部分がどこまで変貌を遂げたのかは、バーレーンでの開幕直前テストを待つ必要があるだろう。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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