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レッドブル・ホンダ分析:タイヤ交換後にマシンバランスが安定。試練を乗り越え2位を掴んだフェルスタッペン
2020年9月28日
2020年F1第10戦ロシアGPの決勝レースを2番グリッドからスタートして、2位でフィニッシュしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。スタートポジションと最終順位だけを見れば、極めて順当な波乱のないレースだったように見えるが、日曜日のフェルスタッペンは様々な試練と戦っていた。
まずフォーメーションラップだ。フェルスタッペンによれば、「フォーメーションラップのスタートの際、(エンジンが)アンチストールに入ってしまった」という。レース後、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「今日はトラブルがなかった」と語っていたので、これはエンジン側の問題ではなく、クラッチのバイトポイントの設定かドライバーの発進方法に起因して発生した不具合だったと考えられる。
いずれにしても、本番前の最後のスタートで、路面の状態をしっかりと確認できなかったフェルスタッペンは、不安を残しながら本番を迎えるしかなかった。そして、悪い予感は的中。スタートでクラッチをつないだフェルスタッペンは、ホイールスピンを犯し、出遅れてしまった。
ただし、これはフェルスタッペンの気合いが空回りした結果ではなく、偶数グリッド側が走行ラインではないため、路面が滑りやすくなっていたためだ。
「ミラーで後ろを確認したら、偶数列はみんな出遅れていた」(フェルスタッペン)
奇数列の3番グリッドから発進したバルテリ・ボッタス(メルセデス)には先を越されてしまった。しかし、この日のフェルスタッペンは、スタートで出遅れてボッタスに逆転されていなくとも、優勝は難しかっただろう。それは序盤のレースペースがメルセデスに対して、大きく遅れていたからだ。これがふたつ目の試練だった。
レースはスタート直後にセーフティーカーが出動し、6周目に再開された。その時点でのボッタスとの差は0.7秒だったが、18周後の24周目にはその差は9秒以上に広がっていた。
「第1スティントで履いていたミディアムタイヤでのマシンバランスがいまひとつだった。まるで土曜日の予選のQ1とQ2みたいだった」(※編注:土曜日の予選でフェルスタッペンはQ1からQ3の1回目のアタックまでずっとオーバーステアに苦しみ、コーナーの進入でのスピードを調整しながら、アタックを続けていた)
そのため、フェルスタッペンは再びコーナーの進入でプッシュすることができず、レース序盤からメルセデス勢のペースについて行くことができなかった。
したがって、25周目にピットインしたのも、トップを走行していたボッタスに対してアンダーカットを仕掛けたわけではなく、タイヤを交換することでマシンバランスが矯正されることを期待したためだった。そして、その狙いは見事に的中した。
「ハードタイヤに交換したら、すべてが改善され、マシンバランスが安定した」というフェルスタッペンとボッタスとのギャップは、ふたりともピットストップを終了した直後、一時13秒まで広がったが、その後はそれ以上広がることはなかった。
もちろん、ボッタスとの差が第1スティントほど広がらなかったのは、ピットストップを終えて先頭に立っていたボッタスが、2番手のフェルスタッペンのペースを見ながら走っていたことも関係しているが、フェルスタッペンの第2スティントのペースも悪くなかったことは、もうひとりのメルセデスのドライバーとの差を見るとわかる。そのドライバーとはルイス・ハミルトンで、これがフェルスタッペンの前に現れた最後の試練だった。
この日、ハミルトンはダミーグリッドに着くためのレコノサンスラップ時に犯した違法なスタート練習によって、レーススタート後に10秒のタイムペナルティが科せられたため、ポールポジションから先頭を走っていたものの、16周目にピットインしたときにタイムペナルティを消化し、大きくポジションを落としていた。
それでも、そのハミルトンはフェルスタッペンがピットアウトした直後の26周目には、すでに5秒後方まで迫っていた。ハミルトンはフェルスタッペンより9周前にタイヤを交換していたから、ふたりのペースを単純に比較することはできないが、今年のこれまでのレースを振り返れば、メルセデスとハミルトンがタイヤの9周の差をものともせず、フェルスタッペンに襲いかかってきたとしても不思議はなかった。
しかし26周目に5秒だったふたりの差は、そこから縮まるどころか、広がる。ハードタイヤに変えたフェルスタッペンのペースが上がったからだ。5周後の31周目にはふたりの差は9秒に広がり、10周後の36周目には10秒以上となった。
これはハードタイヤのロングランで、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが、メルセデス勢と互角に渡り合っていたことを意味する。
最終的にハミルトンとの差を15秒とし、優勝したボッタスの7.7秒遅れでチェッカーフラッグを受けたフェルスタッペン。その走りは、2位を授与されるに相応しい快走だった。
(Masahiro Owari)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 216 |
2位 | ランド・ノリス | 201 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 155 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 146 |
5位 | シャルル・ルクレール | 119 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 91 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 42 |
9位 | エステバン・オコン | 23 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 22 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 417 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 210 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 209 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 162 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 55 |
6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 36 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 29 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 28 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 26 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 11 |

