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F1技術解説ベルギー編:フェラーリはなぜあれほど遅かったのか。ドラッグに悩んだ末の選択が奏功せず
2020年9月4日
前戦ベルギーGPのフェラーリは、予選ではシャルル・ルクレール13番手、セバスチャン・ベッテル14番手にとどまった。ただしポールポジションとの比率を見ると、他のサーキットより決してひどいわけではない。バルセロナ、ブダペストに比べると、むしろその値は小さいほどだった。
それでも13、14番グリッドしか取れなかったのは、空力効率が悪く、パワー面でも非力なSF1000にとって、スパ・フランコルシャンは厳し過ぎるレイアウトだったからであろう。エンジンパワーに劣ることが、一番のハンデキャップだったのは確かである。しかし同じパワーユニットを搭載するハースやアルファロメオに先行されたのを見ても、問題がPU(パワーユニット/エンジン)だけでないのは明らかだ。ちなみに1年前のベルギーGPとの予選タイム比較では、遅くなっているのはフェラーリだけだった。
■ベルギーGP 2019年と2020年の予選タイム比較(秒)
ウイリアムズ:−4.080
アルファタウリ:−3.705
マクラーレン:−2.409
レーシングポイント:−2.215
ルノー:−2.042
メルセデス:−2.030
レッドブル:−1.912
ハース:−0.900
アルファロメオ:−0.397
フェラーリ:+0.477
今季のフェラーリは、特にローダウンフォースのコースで速さを発揮できないようだ。実際スパのレースでは、同じフェラーリ製PUを積むキミ・ライコネンがベッテルを抜き去っている。
SF1000の最大の欠点は、たとえ薄いウイングに付け替えても、ドラッグを減らせないことだろう。ベルギーの初日フリー走行でフェラーリは、極端に薄いリヤウイングをテストした(黄色矢印参照)。さらにTウィングも取っ払い(青矢印参照)、フロントウイング上部フロントも寝かしていた(白矢印参照)。
しかしここまでダウンフォースを減らすと、タイヤにまったく熱が入らなかった。そのためフェラーリは中間仕様で予選とレースに臨まざるを得なかった。だがこれではストレートで最高速が伸びず、中高速コーナーの連続する区間でのタイムロスも大きいという悲惨な結果になってしまった。たとえばアルファタウリとの比較では、高速区間のセクター1だけでコンマ3秒遅く、セクター2は何とか互角。しかしセクター3ではコンマ2秒落ちという結果だった。
かつてのライバルである、対メルセデスではどうだったか。メルセデスはかなりのダウンフォースを付けているにもかかわらず、セクター1でフェラーリよりコンマ1秒速く、セクター3もコンマ3秒。そしてセクター2では、実に1.5秒近く速かったのである。
下4枚の写真はレッドブル、メルセデス、フェラーリ、ルノーのリヤウイングの立て方を示している。ローダウンフォースに徹したルノーは、各区間でバランスの取れた速さを示し、上位入賞を獲得した。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 324 |
2位 | ランド・ノリス | 293 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 230 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 194 |
5位 | シャルル・ルクレール | 163 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 117 |
7位 | アレクサンダー・アルボン | 70 |
8位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 66 |
9位 | アイザック・ハジャー | 38 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 617 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 280 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 260 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 239 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 86 |
6位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 62 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 61 |
8位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 55 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 44 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 20 |

第16戦 | イタリアGP | 9/7 |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9/21 |
第18戦 | シンガポールGP | 10/5 |
第19戦 | アメリカGP | 10/19 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |

