ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブルの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レッドブル・ホンダの走りを批評します。今回はF1第7戦ベルギーの週末を甘口の視点でジャッジ。
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パワーサーキットのベルギーGPでの予選・レースともに3位というのは、ホンダにとって2015年にF1に復帰して以降、最高の成績だ。もちろん、今回の3位の要因には、昨年の勝者であるフェラーリが今シーズン低迷していることも関係していることも忘れてはならないが、ホンダが昨年から今年にかけて前進していることも事実だ。それは予選でのメルセデスとのタイム差を昨年と今年で比較してみるとわかる。
■2019年ベルギーGP予選
3位 ハミルトン 1分43秒282
4位 ボッタス 1分43秒415
5位 フェルスタッペン 1分43秒690
ハミルトンとの差+0.408秒
ボッタスとの差+0.275秒
■2020年ベルギーGP予選
1位 ハミルトン 1分41秒252
2位 ボッタス 1分41秒763
3位 フェルスタッペン 1分41秒778
ハミルトンとの差+0.526秒
ボッタスとの差+0.015秒
ハミルトンとの差はコンマ1秒ほど広がったが、ボッタスとの間にあったコンマ2秒以上の差は、ほぼなくなっている。さらに今回のベルギーGPの予選でのメルセデス(上位)とのタイム差は、今シーズン7戦の中で最も小さかったことも忘れてはならない。
第1戦オーストリアGP +0.538秒
第2戦シュタイアーマルクGP +1.216秒
第3戦ハンガリーGP +1.402秒
第4戦イギリスGP +1.022秒
第5戦70周年記念GP +1.022秒
第6戦スペインGP +0.708秒
第7戦ベルギーGP +0.526秒
今回のベルギーGPの予選でつけられたハミルトンとの0.526秒という差も、その大半はコーナーが連続するセクター2でつけられており、高速区間のセクター1と3はほぼイーブンだった。
■セクター1
ハミルトン 30.337秒
フェルスタッペン 30.419秒(+0.082秒)
■セクター2
ハミルトン 42.466秒
フェルスタッペン 43.042秒(+0.576秒)
■セクター3
フェルスタッペン 28.286秒(-0.079秒)
ハミルトン 28.365秒
このことからも、今シーズンのレッドブル・ホンダが抱えている弱点はコーナーで、しかもハンガロリンクで最も差がついていることを考えると、低速コーナーのようである。逆にストレート区間や高速コーナーではメルセデスとの差は昨年より縮まっていると考えられる。
そして、何により心強いのは、レッドブル・ホンダが3位表彰台を獲得しても、もはやだれも驚かなくなっていること。昨年のベルギーGPは13戦目に行われ、その時点でレッドブル・ホンダは5回表彰台に上がっていた。それが今年は7戦目にして早くも昨年の同時期の回数を抜いて6回表彰台に上がっている。表彰台を逃したのはリタイアした開幕戦のみで、完走したレースでは100%表彰台に上がっている。
ホンダが6戦連続で表彰台に上がったのは、じつは1990年以来のこと。このときは開幕戦からアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーの2人、またはどちらかが13戦目まで表彰台に上がり続けた。今シーズンのレッドブル・ホンダが、どこまで表彰台に上がり続けるのかにも注目したい。
(Masahiro Owari)