コロナ禍のなか、2020年F1は厳格なプロトコルを定めて、シーズンを進めている。イギリス・シルバーストンでの第4戦イギリスGP、第5戦70周年記念GPも、観客を入れず、サーキットに立ち入る関係者の人数を大幅に減らしての開催となった。現地取材を許可されたジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が、厳しい衛生管理、行動制限のなかで目にしたグランプリの裏側を、写真とともに紹介する。
──────────────────────────────
シルバーストン・サーキットのピット&パドックの複合ビルには、人々が距離をとって作業できるだけのスペースがある。この熱波で、誰もが日陰を求めてさまよっていた。2020年F1第4戦イギリスGP/5戦70周年記念GP シルバーストンの複合ビル 2020年F1第4戦イギリスGP/5戦70周年記念GP シルバーストンの複合ビル ピットビル内で、チームとメディアが廊下や階段を共有しなければならない場合もある。チームが食べ物を運ぶ時などだ。そういう時には同時に動いていいのは3チーム以下に制限され、プライベートエリアへのルートは右側通行に定められていた。2020年F1第4戦イギリスGP/5戦70周年記念GP シルバーストン複合ビル内に定められたルート サーキット内を移動しなければならないフォトグラファーとマーシャルのために、シルバーストンはイギリス出身のF1世界チャンピオンたちの名前を付けた特別バスを走らせていた。2020年F1第4戦イギリスGP/5戦70周年記念GP デイモン・ヒルの名前が付けられたバス イギリスの2戦で誰よりも注目を集めたのが、ニコ・ヒュルケンベルグだ。彼が走ることが正式に発表されたのはイギリスGPの金曜朝。しかし土曜にはパドックビルにしっかりと彼の写真が掲げられていた。 ヒュルケンベルグはパドックに到着して20分後にコースイン。レーシングポイントは信じられないほどのスピードで彼を乗せるための準備を整えた。 イギリスGP決勝と70周年記念GP予選で見事な結果を出したダニエル・リカルド。これはフリープラクティスの後、ルノーのスポーティングディレクター、アラン・パーメインと話をしているところだ。彼らは会話する際にも、できる限り距離をあけている。 Netflixのスタッフは来年公開用のドキュメンタリー「Drive to Survive」の撮影のため、毎戦現場に来ている。私同様、ドライバーたちの姿を探し求めている彼らは、待ち続けた甲斐あって、アレクサンダー・アルボンとランド・ノリスが高級車でサーキットに到着したシーンを映像にとらえることができたようだ。 ピットレーンのスタート/フィニッシュストレートの反対側に大きなホテルが建設中。F1のパドッククラブが提携しているZoomの大きな広告が飾られている。 F1同様、サポートカテゴリーのレースもドラマティックな展開になった。70周年記念GPの日曜朝行われたFIA-F2のスプリントレースで、ミック・シューマッハーがチームメイトのロバート・シュバルツマンと接触した後、ホンダとレッドブルの育成ドライバー角田裕毅がF2初優勝を挙げた。 シルバーストンの2戦に観客の姿はなく、寂しい雰囲気。セバスチャン・ベッテルが特に寂しげに感じたのは考えすぎか。この2戦、苦しみ続け、チームへの無線で不満を訴える場面もあった。