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ホンダF1甘口コラム 第3戦ハンガリーGP:2019年よりも低速コーナーで遅くなってしまったレッドブル

2020年7月27日

 ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブル、アルファタウリの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レッドブル、アルファタウリの走りを批評します。今回はF1第3戦ハンガリーGPの週末を甘口の視点でジャッジ。

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 レッドブル・ホンダが今シーズン最高位となる2位を獲得した。ただし、優勝が期待されていただけに、2位という結果を手放しで喜べないことも確かだ。

 では、敗因はなんだったのか? その最大の原因がレッドブルの車体にあることを、ハンガリーGPでレッドブルのチーム関係者が認めている。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「今週末はわれわれの予想通りにクルマが機能していなかった」とハンガリーGPのレース後に語っている。

 ホーナー代表の言葉を裏づけるデータがある。それは予選では2019年と2020年のセクタータイムの比較だ。

■2019年
セクター1→セクター2→セクター3
27.095(4位)→26.456(2位)→21.021(1位)

■2020年
セクター1→セクター2→セクター3
27.262(5位)→26.351(9位)→21.220(10位)

 セクター1はホームストレートと1コーナーから3コーナーまでで、低速コーナーが2つと中速コーナーの合計3つのコーナーがある。セクター2は4コーナーから11コーナーまで低速から中速までの合計8つのコーナーがレイアウトされており、セクター3は12コーナーから14コーナーまでの低速コーナー3つとなっている。

 この3つのセクタータイムで顕著なのが、セクター2とセクター3の落ち込みだ。特にセクター3は、順位だけでなくタイムも昨年に比べて落ちている。

 不思議なのは、開幕2戦が行われたレッドブルリンクでは、レッドブル・ホンダは低速コーナーである3、4コーナーが速かった。そのため、低速コーナーが多いハンガロリンクでは「レッドブル・ホンダが脅威になるだろう」とライバルであるメルセデスのトト・ウォルフ代表も警戒していた。

 ところが、ハンガロリンクの低速コーナーでは一転、遅くなってしまった。なぜ、このような事態に陥ってしまったのか。ホーナー代表は次のように分析する。

「空気力学的に、われわれがシミュレーションしていた通りにクルマが機能していないことがわかった。そのため、RB16のポテンシャルを最大限発揮できていない。ハンガリーGPで多くの走行データを得ることができたので、今後はそれらのデータを解析し、残りのレースに対処していかなければならない」

 つまり、RB16は現状、空力的に不安定なマシンとなっており、それが「セッティングを変更しても一向に速くならなかった」(マックス・フェルスタッペン)原因ではないか。

 第2戦シュタイアーマルクGPを終えたときには、レッドブル側のスタッフもまたドライバーも、RB16は低速コーナーが速いマシンだと勘違いしていたため、メルセデスに追いつくためには高速コーナーとストレートスピードを改善させる必要があるということを異口同音に唱え、ホンダのパワーユニット(PU/エンジン)にも改善の余地があるかのような発言をしていたが、ハンガリーGPでそれは完全に消えた。

 さらにハンガリーGPで車体側に問題があることが判明した後も、ホンダがそのことを指摘したり、批判しなかった。それはパートナーを批判しても物事が前進しないことを、ホンダはこれまでの経験で身に染みてわかっていたからだ。

 ホンダのパワーユニットが、今年の第3戦ハンガリーGPで昨年以上にパワフルになっていたことは、昨年のレースではタイヤを履き替えて終盤に追い上げてきたルイス・ハミルトン(メルセデス)にフェルスタッペンはオーバーテイクされたが、今年は同じように追い上げてきたメルセデスのバルテリ・ボッタスに、最後までオーバーテイクを許さなかったことでもわかる。

 最後の数周、テール・トゥ・ノーズの戦いを行なっていたフェルスタッペンにホンダはエキストラパワーの使用を許可していた。

 ハンガリーGPでレッドブルの首脳陣からホンダ側に対して。こんなお願いがあったという。
「いまは(RB16の)パフォーマンス不足を少しでもホンダのパワーで補ってほしい」

 ホンダはそれを黙って受け入れた。

(Masahiro Owari)


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