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F1 Topic:クラッシュしたフェルスタッペンがガレージに戻らず、グリッドで修理を試みた理由

2020年7月21日

 ガレージを出て、ダミーグリッドへ向かうためにコースを1周するレコノサンスラップでタイヤバリアにクラッシュしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。なんとか自力でマシンを再走行させたものの、フロントウイングは脱落し、左フロントサスペンションにダメージを負った姿を見て、多くのファンがピットインして修理するだろうと考えたに違いない。


 実際にフェルスタッペンも13コーナーを通過した後、ピットロードに向かおうとして、後続車のロマン・グロージャン(ハース)の位置を確認してから、ピットロード入口となっているコース右側にマシンを寄せ、グロージャンも進路を譲っていた。


 ところが、フェルスタッペンはピットインしなかった。


 それはフェルスタッペンのレースエンジニアを務めるジャンピエロ・ランビアーゼからの指示だった。グリッドに来いというランビアーゼからの無線を聞いたフェルスタッペンは、声を震わせながら、こう返した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)&ジャンピエロ・ランビアーゼ
2019年F1第20戦ブラジルGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ


「OK。でも、サスペンションが完全に逝っちゃってるよ」


 なんとかレースに参加したいフェルスタッペンは、設備が整っているガレージで修理したほうが良いと考えたわけだ。


 しかし、ランビアーゼはグリッドに来るよう指示を出す。それを聞いたフェルスタッペンはピットロードの入口で慌ててステアリングを左へ切って、最終コーナーを回った後、グリッド後方でマシンを止めた。


 なぜ、ランビアーゼは人も道具も限れたグリッド上での作業を選択したのか。


 その理由は、フェルスタッペンがクラッシュした時間に関係していた。フェルスタッペンがクラッシュしたのは14時48分。新型コロナウイルス感染による影響でシーズンの開幕が遅れたF1は、6月に2020年のスポーティングレギュレーション(競技規則)が改訂され、以下のようにスタート手順が変更されていた(カッコ内は以前までの時刻)。


14:40(14:30) ピットレーン出口は開放
14:50(14:40) ピットレーン出口は閉鎖
15:05(15:07) グリッドにいるすべての車両は、ホイールを装着していなければならない。この後のホイールの取り外しはピットレーンでのみ許され、チームスタッフと機材を乗せたトロリーはグリッドから退去しなければならない。ホイールを完全に装着していない車両のドライバーには、ペナルティが科される。


 つまり、14時48分にクラッシュしたフェルスタッペンが、あのときピットインすると、その1、2分後にピットレーン出口は閉鎖され、たとえガレージでサスペンションを直すことができたとしても、再びグリッドに並ぶことは許されず、ピットレーンスタートとなる。それは抜きどころがほとんどないハンガロリンクでは、絶望的なスタートポジションとなる。


 ならば、一か八か、グリッド上で修理を試たほうが良いと考えた。間に合えば、そのまま7番手からスタートでき、もしかしたら表彰台も狙える。もしフォーメーションラップのスタート時刻までに修理が間に合わなかったら、そのときはガレージに戻せばいいと考えたわけだ。


 このランビアーゼの執念が実り、フェルスタッペンは7番手から絶好のスタートを決め、1周目に3番手までジャンプアップ。2位表彰台を獲得する大きな原動力となった。


 レース後、フェルスタッペンは「この表彰台はサスペンションを修理してくれたメカニックたちに捧げる」と語ったが、あのときレースをあきらめていなかったのはメカニックだけではなかった。フェルスタッペンを担当するレースエンジニアのランビアーゼもまた、あきらめてはいなかった。


 あらためて、レッドブルのレーススタッフのレベルの高さを感じたハンガリーGPだった。



(Masahiro Owari)


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