ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブル、アルファタウリの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レッドブル、アルファタウリの走りを批評します。今回はF1第2戦シュタイアーマルクGPの週末を甘口の視点でジャッジ。
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ホンダのパワーユニット(PU/エンジン)を搭載する2チーム4台のうち、3台がチェッカーフラッグを受けることができなかった開幕戦オーストリアGPから1週間。第2戦シュタイアーマルクGPでは4台全車が完走し、うち3台がトップ10でフィニッシュした。
開幕戦でチェッカーフラッグを受けられなかったホンダPU搭載車のうち1台はアクシデントによるもの。また残りの2台は電気系トラブルだった。つまり、パワーユニットの本体とは関係のない部分で発生したトラブルだった。トラブルを解析するために、ホンダはアレクサンダー・アルボンのCE(コントロールエレクトロニクス)は交換したものの、それ以外はパワーユニットに関しては開幕戦と同じ仕様で戦った。
ただし、それはFIAに届け出している6つのコンポーネント(ICE、TC、MGU-H、MGU-K、CE、ES)など交換する場合に申請しなければならないパーツであって、無条件で交換できるパーツやエンジンのセッティングなどの電子制御は別の話なのである。
例えば、第2戦シュタイアーマルクGPで、田辺豊治F1テクニカルディレクターはこう語っていた。
「第2戦に向けて、トラブルの原因と対策をクリアにするために、さくら(HRD Sakura/栃木県の本田技術研究所)とミルトンキーンズ(HRD UK/イギリスにあるホンダF1の拠点)は必死の作業をしてくれました。トラブルが出た箇所で交換可能な部分に限って、さくらとミルトンキーンズで確認作業を行ってくれたんです。その橋渡しや一緒に検討を重ねたりと、こちらも非常に忙しく過ごし、激しい疲労感に襲われました」
こうした努力によって、同じスペック1.1でも目に見えない部分で進化を遂げていた可能性は十分考えられる。
もちろん、開幕2連勝を果たしたメルセデスに対して、ホンダもレッドブルもやるべきことはまだまだあることも事実。開幕戦から1週間という短い間に、ホンダは開幕戦よりもたくましくなって帰ってきた。
レッドブルのチーフレースエンジニアのポール・モナハンは、第2戦シュタイアーマルクGPの後、ホンダの仕事ぶりをこう称えていた。
「開幕戦から2戦目に向けて、マシンを改良するためにレッドブル・ホンダの仕事ぶりは感動的だった。レッドブルはいつものことだが、ホンダは本当に素晴らしい仕事をしてくれた。マックスの3位表彰台は、その努力の集大成。もちろん、メルセデスに敗れたことにはフラストレーションを感じている。彼らは強く、その勝負に勝つのは大変な挑戦になるだろう。でも、乗り越えられないわけではない。われわれに不可能ない」
(Masahiro Owari)