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中止予想は本当に不可能だったのか。あまりに楽観的すぎた強行開催の姿勢が最悪の結末に/F1オーストラリアGP
2020年3月18日
2020年3月13日(金)午前10時10分、F1統括団体FIAと商業権保持者としてのF1株式会社、そしてオーストラリアGP主催者AGPCは連名でオーストラリアGPの中止を発表した。今シーズンの開幕となる金曜フリー走行の開始まで2時間を切るというぎりぎりのタイミングだった。
すでにサーキットには午前9時のカーフュー解禁と同時にチームスタッフが入場し、ファンも各ゲートで開門を待っていた。
そもそも3月11日水曜日の時点では、オーストラリアは新型コロナウイルスの感染が拡大している中国や韓国、イラン、イタリアからの入国は制限していたが(過去14日間の渡航歴があれば原則として入国拒否)、日本からは顔認証自動ゲートでの質問項目に「いいえ」と答えるだけでいつも通り何の制限もなく入国できた。
イタリアは自国でも出入国制限が始まったが、F1のチームメンバーが出国するのを見計らったタイミングであり、オーストラリア側の入国制限もそれに合わせたタイミングになっていた。
サーキット内のファンゾーンやパドックの各所には、水曜になって多数のアルコール除菌剤が持ち込まれて設置され、感染対策と症状が出た際の対処に関するガイダンスもあちこちに貼られていた。
しかし水曜のパドックの雰囲気はいつも通りで、バルセロナ合同テストの際と同じように「うがい、手洗い、アルコール除菌」といった基本的な感染対策がとられているだけだった。マスクに関しては、日本とは違い欧米では「病人がするもの」という認識があるため、混乱を防ぐためかAGPCや地元保健当局からのガイダンスにも「健康な人はマスクはしないこと」と明記されており、パドック内でマスクをしているのはごく僅かでしかなかった。これが飛沫感染の拡大に繋がったかどうかは分からないが、主催者側の感染予防に対する努力は感じられたものの、そのスタンスが充分なものであったかどうかは疑問が残る。
水曜にマクラーレンのスタッフがコロナウイルス新型肺炎の症状を訴えたため、ガイダンスに従って自己隔離と検査を行い、チームは陽性と判断された場合に備えて話し合いを進めていた。
そして木曜の朝になって、FIAとFOMは感染予防のためドライバーと取材陣の距離を置くことをチームに要請し、あらゆるテレビインタビュー取材は中止となりF1TVが代表して各ドライバーのインタビューを収録し、各テレビ局に提供することとなった。
ジャーナリストの囲み取材も、普段のようなテーブルを囲んでのものではなく、原則として屋外で、テンサバリアで境界線を引き距離を置いて囲む記者会見のようなスタイルで行われることとなった。各チームとしても、このあたりからいよいよコロナウイルス対策に本腰を入れ始めたような状況だった。
しかしオーストラリアGP開催の可否については賛否様々な意見があったものの、それを決めるのは主催者AGPCとFIAであり、チーム側もしくはドライバー側から決定を下すことはできないというのがこの時点での各チームの認識だった。そして、AGPCは開催権料やチケット返金などの観点から中止は考慮せず、あくまでも開催を貫き通す意向だった。
だが木曜夜22時にマクラーレンが陽性結果とオーストラリアGPからの撤退を表明すると、FIAはF1ドライバーや首脳陣が宿泊しているメルボルン市内のクラウンホテルにマクラーレン以外の9チームの代表を集め、当初は開催への賛成と反対で意見が分かれたものの、最終的には反対という意見で合意に至った。そのため金曜未明のこの時点で、仮にAGPCがイベントの続行を決めたとしても、F1のフリー走行や予選・決勝は行われないという状態になっていた。
だがAGPCは金曜朝になってもまだ中止の決定は下さず、イベントとしての成立を目指していた。チケット返金だけでも莫大な損失になるからだ。
それを最終的に折れさせたのは、地元政府保健当局だ。これまで「イベント開催に問題なし」としていた見解を、この13日金曜日の朝になって「多数の観客を動員してのイベント開催は自粛すべし」と一転させた。
これによってAGPCとしてはイベントを継続する意味がなくなった。継続してもチケット返金はしなければならないからだ。
これでようやくAGPCとFIA、F1が一体となってオーストラリアGP中止の決定を下し、チーム側に通達されたのが午前9時45分頃。セッションの開始に向けての準備は行わず、ただその瞬間を待っていたチームスタッフたちは、チームからそれを伝えられ、ただちに撤収作業へと入っていった。いつもであれば決勝後に見られるように、ガレージ裏に航空便や船便用のコンテナが並び、そこへと梱包作業を行っていく慌ただしい風景が広がった。
現地スタッフの数が限られている今は、多くのチームがエンジニアも含めてともに撤収作業を行うため現場に来ていたが、ピレリのように役割分担がはっきりしている組織の場合はエンジニアはサーキットに連れて来てさえいなかった。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)やキミ・ライコネン(アルファロメオ)など当初から開催に反対の意向を示していたドライバーは、すでに午前6時のエミレーツ便でメルボルンを後にしていた。
主催者側はいざしらず、F1側としては金曜朝の時点でイベントへの不参加を決めていたというわけだ。メルセデスAMGはなかなか中止の正式決定が下らない状況のなかで、FIAとF1に対して中止を要請するレターを送っていたことも明らかにしている。
午前11時30分からAGPCの会長とCEO、F1のチェイス・キャリーCEO、FIAを代表してマイケル・マシ(レースディレクター)が揃って記者会見を行うことになったが、それも屋内ではなく屋外で行うこととなったため機材の調整に手間取り、開始は15分ほど遅れた。
そしてそうこうしているうちにメディア関係者は12時30分までとされていたパドックへの立ち入りがすでにできなくなっており、取材のアポイントメントがある一部メディアとゲート前の警備員の間で一悶着が起きる場面もあった。最終的には「12時30分までに退出すること」という条件で残り数分のパドック入場が許可されたが、チーム関係者は中止に関して明言を避けておりこれといった取材成果が得られるような状況ではなかった。
AGPCの会長やCEOは「COVID-19を巡る状況は極めて流動的であり、2〜3日前の段階では、こうなることは予想はできなかった。状況は急速に変化した」「政府保健当局の見解変更が最大の要因だった」とこれ以上早く中止の決断を下すことはできなかったと弁明したが、果たしてそうだろうか?
こうなることは予想できなかったとしても、こうなる可能性があることは誰でも予想できていた。であれば、何が起きた際にはどう判断するかという事前準備はしっかりと行っているべきだった。現地では、そうした判断と対策が非常に曖昧かつ緩慢であったように感じられた。それを知ると、彼らの開催強行を前提とした「開催に問題なし」というスタンスはあまりに楽観的過ぎたのではないかとも思えてならない。
もし彼らがしっかりとリスクマネージメントをしていれば、大勢のチーム関係者を現地へ呼び寄せて彼らにも地元メルボルンにも感染拡大のリスクを広げることも、大勢の観客を金曜朝のゲート前で1時間以上も待たせたうえそのまま帰らせるといったこともしなくて済んだのではないか。
誰も経済的損失を被りたくがないゆえに責任を取りたくないという状況の中でここまで来てしまい、最悪の結果に終わった。それは主催者AGPCだけでなく、FIAやF1側の問題でもある。年間22戦からさらに拡大しようと模索する前に、我々はF1グランプリというもののあり方をもう一度見つめ直す時に来ているのではないかと感じられた開幕戦オーストラリアGPだった。
(Mineoki Yoneya)
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4/18(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
4/19(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
4/20(日) | 決勝 | 26:00〜 |


1位 | ランド・ノリス | 77 |
2位 | オスカー・ピアストリ | 74 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 69 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 63 |
5位 | シャルル・ルクレール | 32 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 30 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 25 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 18 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 151 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 93 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 71 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 57 |
5位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
6位 | ウイリアムズ・レーシング | 19 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 7 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

