F1速報

  • 会員登録
  • ログイン

F1 Topic:去りゆくヒュルケンベルグへ駆け寄ったあるドライバー

2019年12月14日

 2019年のF1最終戦アブダビGPは、2020年のシートを獲得することができなかったニコ・ヒュルケンベルグにとって、F1ドライバーとして最後になるかもしれないレースだった。そのため、グリッド上ではルノーのスタッフがヒュルケンベルグに感謝の意を込めて、ヒュルケンベルグの髪型を模したカツラをかぶって記念撮影を行い、最後になるかもしれないレースに臨んだ。

2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)


 しかし、そのレースでヒュルケンベルグは入賞圏内を走行しながら、立て続けにオーバーテイクを許して、ポイント圏外でレースを終えた。レース後にドライバーたちがやってくるミックスゾーンには大勢のメディアがヒュルケンベルグの生を聞こうと集まったが、ヒュルケンベルグはなかなかやってこない。


「何か、祝福でも受けているのだろうか?」と思いながら、目の前にやってきた表彰台を逃したほかのドライバーたちのインタビューを聞く。しかし、彼らが一通り通り過ぎて行った後も、ヒュルケンベルグがミックスゾーンに姿を見せることはなかった。


 しばらくして、トップ3のドライバーたちがミックスゾーンに姿を現したときだった。ようやく、広報に連れられて、ヒュルケンベルグがやってきた。いったい、何があったのか?

2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)


「いや〜、参ったよ。ドーピングに引っ掛かったちゃった(笑)」


 最後のレースになるかもしれないが、検査は検査。ドーピング・テストの中立性の高さを改めて感じたハプニングだった。


 そのドーピング検査のおかげで、ヒュルケンベルグは表彰台を獲得したドライバーたちと同じタイミングで、メディアの取材をミックスゾーンで受けることとなった。まずはテレビ局が集まる場所へ行き、取材を受けるヒュルケンベルグを遠目に見ながら、待っていると、たまたま隣同士になったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がヒュルケンベルグの肩を叩いて10年間の活躍を称えていた。


 われわれ紙媒体のメディアが集まる一角にヒュルケンベルグがやってきたのは最後のこと。非常に穏やかな表情で記者たちの質問に答えるヒュルケンベルグの元へ、もうひとり労いに来たドライバーがいた。それは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)。ふたりには、ちょっとした因縁があった。

■ニコ・ヒュルケンベルグにとって千載一遇のチャンスだった2012年のブラジルGP

 ヒュルケンベルグは出走177回でポールポジションを1回、フロントロウ2回、そしてファステストラップも2回記録しているが、177戦出走して、一度も表彰台に上がることなかった。この記録はF1史上最多となる、ある意味、不名誉なものなのだが、そのヒュルケンベルグが最も表彰台に近いレースだったと語るのが、2012年のブラジルGPだ。


 このレースは雨がらみとなり、途中雨用のタイヤに交換する中、ドライタイヤで走り続けたジェンソン・バトンとヒュルケンベルグの2台がライバル勢を大きく引き離し、19周目にはヒュルケンベルグがバトンをかわしてトップに浮上するという展開となったのだ。


 その後、3番手のハミルトンが31周目にバトンを抜き、49周目にはヒュルケンベルグもかわしてトップに浮上。しかし、ヒュルケンベルグは55周目の1コーナーでペースが上がらないハミルトンに再び接近する。ここでヒュルケンベルグは迷わず、ハミルトンのインに飛び込みトップ再浮上を狙ったが、走行ライン以外はまだ濡れていたためマシンを滑らせてハミルトンと衝突。ヒュルケンベルグはレースを続行できたが、ドライブスルーペナルティを科せられ、優勝だけでなく、表彰台も逃した。


 あのとき、ハミルトンと衝突していなければ、ヒュルケンベルグの表彰台は確実だったと、当時所属していたエンジニアは語る。しかし、ヒュルケンベルグは接触したハミルトンに恨みはないし、自分が行ったレースに悔いはないと言う。


「『抜ける』と思ったときに、オーバーテイクができないようなら、レースなんかやめたほうがいい。もちろん、一勝もできず、表彰台にも上がれないままF1を去ることに満足はしていない。でも、僕は自分のレース人生を後悔はしていない」


 握手を求めてきたハミルトンに、快く応じたヒュルケンベルグ。その笑顔には、7年前のオーバーテイクを後悔している様子は微塵も感じられなかった。

2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグとルイス・ハミルトンが握手をかわす
2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグとルイス・ハミルトンが握手をかわす



(Masahiro Owari)


レース

11/22(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
11/23(日) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
11/24(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン403
2位ランド・ノリス340
3位シャルル・ルクレール319
4位オスカー・ピアストリ268
5位カルロス・サインツ259
6位ジョージ・ラッセル217
7位ルイス・ハミルトン208
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ63
10位ニコ・ヒュルケンベルグ35

チームランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム608
2位スクーデリア・フェラーリ584
3位オラクル・レッドブル・レーシング555
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム425
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
6位マネーグラム・ハースF1チーム50
7位BWTアルピーヌF1チーム49
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

レースカレンダー

2024年F1カレンダー
第19戦アメリカGP 10/20
第20戦メキシコシティGP 10/27
第21戦サンパウロGP 11/3
第22戦ラスベガスGP 11/23
第23戦カタールGP 12/1
  • 最新刊
  • F1速報

    Rd19 アメリカ&Rd20 メキシコ&Rd21 ブラジルGP号