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トロロッソF1・チーフエンジニア インタビュー:「こんな雰囲気でレースをするのは初めて。ホンダが我々を成長させてくれた」

2019年11月20日

 2019年F1第20戦ブラジルGP決勝でトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが力走の末、2位表彰台を獲得。ラスト2周の攻防、そして2018年からタッグを組むホンダについてトロロッソのチーフ・レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズにインタビューした。


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2019年F1第20戦ブラジルGP ジョナサン・エドルズ(トロロッソ/チーフ・レースエンジニア)
2019年F1第20戦ブラジルGP ジョナサン・エドルズ(トロロッソ/チーフ・レースエンジニア)


──素晴らしい2位表彰台です。
エドルズ:
ありがとう。金曜日からマシンは速かったから、いいレースはできると思っていたけど、まさか表彰台に上がるとは思ってもいなかった。トロロッソは昨年まで表彰台は1回(2008年イタリアGP/セバスチャン・ベッテル優勝)しか経験していなかったのに、今年はすでに2回も上がった。最高の気分だ。


──しかも最後は、手に汗握るルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルを制しての2位。ファイナルラップのバトルの話をする前に、2回目のセーフティカーが導入されて、ハミルトンがピットインしたとき、ピエール・ガスリーのポジションが1つ上がって、3番手になりました。あのときは、何かに何でもハミルトンを押さえて、表彰台を狙いに行ったのですか。
エドルズ:
いや、あのときはピットインしたハミルトンが交換したばかりのタイヤで真後ろにいて、ピエールは約20周走ったタイヤで再スタートしなければならなかったから、無理な戦いは挑まず、きちんとゴールまでクルマを持って帰ることを指示した。


 あそこまで行ったら、確かに表彰台に上がりたい気持ちはあった。でも、我々のようなチームにとっては、4位でも素晴らしい結果だ。コンストラクターズ選手権のことを考えても、『3位かリタイア』よりも『確実に4位』のほうが重要だった。


──それで残り2周となったところでの再スタートで、あっさりハミルトンにオーバーテイクされたわけですね。しかし、その周のヘアピンでハミルトンがアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)に突っ込み、ガスリーが2台の横をすり抜けて、2番手に浮上しました。
エドルズ:
オー・マイ・ゴッドって叫んだよ。でも、ハミルトンがすぐに発進して3番手でレースを再開したから、チクショーという感じだった。だって、向こうのほうがタイヤのグリップが明らかに良く、ファイナルラップのインフィールドセクションで追いつかれるのは目に見えていた。


──そして、ファイナルラップの12コーナーを過ぎたところからコントロールラインまで、あのサイド・バイ・サイドのバトルが演じられた。あのとき、ガスリーはオーバーテイクボタンを使ったのですか。
エドルズ:
ホンダからは可能な限りのパワーを使わせてもらった。それから、あの場面で我々に運があったのは、セーフティカーが解除されたばかりだったため、DRSが使用不可となっていたことだ。だから、あのサイド・バイ・サイドのバトルはメルセデスとのガチンコ勝負。それに我々は勝った。

■古巣に戻ったピエール・ガスリーのさらなる成長を期待

──波乱に助けられた面もありましたが、今日のレースでは常にトップ3チームの直後のポジションにガスリーがいたことも、運を味方につけられた要因でしたね。
エドルズ:
そうだね。今日のトロロッソ・ホンダとピエールは、第2集団の先頭を常に走り続けるスピードがあった。レース前、我々は1ストップも視野に入れた2ストップ作戦を選択した。


 だから、ソフトタイヤでスタートした後、1回目のピットストップでミディアムを選択した。レースが後半に入ったところで、1ストップは断念し、2回目のピットストップを行い、ソフトタイヤに履き替えて、チェッカーフラッグを目指した。その作戦が結果的にレース終盤に訪れたセーフティカー導入でこちらに味方した。再スタートでは、できればソフトタイヤを履いていたいからね。

2019年F1第20戦ブラジルGP 2位表彰台に歓喜するピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第20戦ブラジルGP 2位表彰台に歓喜するピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)


──古巣に戻ってきたガスリーの表彰台は格別ですね。
エドルズ:
彼は2019年シーズンにいろんなことがあったと思う。そんな彼が表彰台で喜ぶ姿を見ることができて、我々も幸せな気分だ。この表彰台が彼にとって今後の自信につながり、さらなる成長へつながることを期待している。


──第11戦ドイツGPに続いて、ホンダ・ユーザーが2台、表彰台に上がりました。
エドルズ:
過去にホンダが苦しい時間を経験していたことは、我々も知っている。そのホンダと我々は2018年に手を組んだ。それはホンダにとって再出発する良い経験となっただけでなく、我々のようなプライベートチームにとっても、素晴らしい経験となった。


 ホンダの仕事ぶりは常に真摯で我々も多くのことを彼らから学んだ。ホンダが我々を成長させてくれたんだ。今年のチームはこれまでになく、モチベーションが高い。こんな雰囲気でレースしているのは、私がこのチームに入ってきてから、初めてのことだ。


──これでコンストラクターズ選手権で19点を加え、83点とし、5位のルノー(91点)と8点差です。最終戦で逆転もあります。
エドルズ:
ハハハ(笑)。まずはレーシング・ポイント(67点)の前で確実にフィニッシュすること。いまはまだきちんと計算ができていないから、ルノーを逆転するのに、あと何点必要かわからないが、チャンスがある限り、ひとつでも上のポジションを狙うよ。今日、ピエールが見せたレースのようにね。

2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリーの2位に喜ぶホンダ山本雅史F1マネージングディレクターとトロロッソのフランツ・トスト代表
2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリーの2位に喜ぶホンダ山本雅史F1マネージングディレクター、ジョナサン・エドルズ、フランツ・トスト代表


2000年代にホンダ・チームで仕事していた経験があるチームマネージャーのグラハム・ワトソン(左)も感慨無量
2000年代にホンダ・チームで仕事していた経験があるチームマネージャーのグラハム・ワトソン(左)も感慨無量



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