ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブル、トロロッソの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のレッドブル、トロロッソのコース内外の活躍を批評します。2019年F1第18戦メキシコGP&第19戦アメリカGPを甘口の視点でジャッジ。
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母国グランプリである第17戦日本GPでは、実力を出しきれなかったレッドブル・ホンダだが、続く2連戦となった第18戦メキシコGPと第19戦アメリカGPでは、力強い走りを披露した。
まずメキシコGPでは、マックス・フェルスタッペンが予選で最速タイムを記録した。ただし、最速ラップで黄旗を無視したとして、3番手降格のペナルティが科せられ、ポールポジションからではなく4番手からレースをスタート。結果、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのメルセデス勢と接触し、6位に終わった。
ホンダが予選でトップタイムをマークしたのは、第12戦ハンガリーGP以来のこと。どちらもハイダウンフォース・サーキットであるため、馬力よりも車体性能が重視されるコースだ。ただし、パワーユニット(PU/エンジン)は馬力だけがすべてではない。車体とのパッケージングも重要となる。今年のレッドブルの車体性能の良さの中に、ホンダのパワーユニットの冷却性能やコンパクトさも含まれていることを忘れてはならない。
続くアメリカGPの予選でも、フェルスタッペンはあわやポールポジションを取るほどの素晴らしいアタックを披露した。最終的にフェルスタッペンはポールポジションのボッタスから0.067秒遅れの3番手に終わったが、1コーナーのブレーキングでタイヤをロックさせていなければ、ポールポジションを獲得していた。
フェルスタッペンの最後のアタックの各セクタータイムは次のとおりだ。
セクター1 → セクター2 → セクター3
24.706秒 → 36.968秒 → 30.422秒
このうち、セクター2とセクター3は自己ベストだが、セクター1はQ3の1回目のアタック時の自己ベスト24.646秒より0.06秒遅かった。ポールポジションとの差は0.067秒だったから、このミスがなければ0.007秒まで迫っていたこととなる。さらにフェルスタッペンは1回目のアタックでも1コーナーのブレーキングでタイヤをロックさせていたというから、ここをしっかりとまとめられていれば、ポールポジションは間違いなかったというのが、レッドブル・ホンダ陣営の見方だ。
さらに注目すべきは、ホンダが標高2000m超というメキシコの特殊な環境ではなく、ほぼ平地であるアメリカGPが開催されたサーキット・オブ・ジ・アメリカでも、ポールポジションを狙えるだけのスピードを披露したことだ。レッドブルがアメリカGPで予選で3番手以内となったのは、2016年以来3年ぶりのことで、その3年前もポールポジションから0.51秒も遅れていた。つまり、レッドブルとしてもここまでメルセデスとアメリカGPで互角に戦ったことはなかった。
もちろん、そこにはレッドブルの車体性能が大きく関係しているが、パワーユニットの性能面でもホンダがメルセデスにかなり肉薄していることを忘れてはならない。以下はアメリカGPの予選で、ポールポジションのボッタスと3位のフェルスタッペンのそれぞれの自己ベストをマークしたときの各セクタータイムと通過速度だ。