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ホンダF1に勝利をもたらしたフェルスタッペン、スタートの失敗を挽回する圧巻の走り【今宮純のF1オーストリアGP分析】

2019年7月2日

 2019年F1第9戦オーストリアGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今シーズン初優勝。そしてホンダF1としては2006年以来、13年ぶりの勝利となった。F1ジャーナリストの今宮純氏が週末のオーストリアGPを振り返る。


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 F1第9戦オーストリアGP決勝、フェルスタッペンの勝利は内外に『POWERED BY HONDA』をアピールするものだった。レッドブルチームはすすんでホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクターを表彰台に上げた。


 パワーユニット(PU/エンジン)のサプライヤーであるホンダとレッドブルの連帯意識が見られる光景だった。

2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター
2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター


 ドライバーではない日本人技術者として初めて表彰台に立った田辺TD、シャンパンファイトも堂々と。1990年に担当エンジニアを務めたゲルハルト・ベルガーが“2位プレゼンター役”で現れ、田辺TDに祝福のハグ。すると彼の目から“汗”が流れるように見えた。


 15年にハイブリッドPUで復帰してから90戦目。正式には言われていない『ホンダF1第4期』の1勝目を上げるまで4年かかった。


 くらべるなら2006年ハンガリーGP、ジェンソン・バトンによる勝利は『第3期』参戦115戦目であった。あのときのバトン担当が若き田辺エンジニア、どちらにもかかわったベテランのHONDA戦士、彼自身はインディ500マイル以来の勝利だ。


 71周レースをフェルスタッペンは<三段戦法>でいった。スタートで完全に出遅れ1周目は7番手、7周目に6番手、9周目に5番手へ、次々にランド・ノリス(マクラーレン)とキミ・ライコネン(アルファロメオ)をかわす。一撃離脱の挽回戦だ。


 21周目にバルテリ・ボッタス(メルセデス)、22周目にセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がピットインし3番手に上がると、しばらくミディアムタイヤをケア。我慢の走りに切り替え、次のスティントまでを先延ばしにすることで終盤にそなえた。


 31周目にピットへ。TV画面にはとらえられなかったがレッドブル・ホンダは、タイヤ交換を素早く済ませ静止タイム2秒09(2番目)。ちなみに最速はウイリアムズのロバート・クビサの2秒02だ。

2019年F1第9戦オーストリアGP セバスチャン・ベッテルを追う、マックス・フェルスタッペン
2019年F1第9戦オーストリアGP セバスチャン・ベッテルを追う、マックス・フェルスタッペン


 32周目、1番手ルクレール〜2番手ボッタス〜3番手ベッテル〜4番手フェルスタッペン、首位とは12.914秒差。


 ここから追撃戦の開始だ。ラップタイムを1分08秒台にアップし、じわじわとベッテルに接近、50周目の4コーナー手前で抜き3番手。


 次はボッタス、1分07秒台にペースアップし、3コーナーでインから抜き2番手。このオーバーテイクの合間にも彼はラインをわずかにずらし、超高温コンディションに対応しつつ勝負にそなえる。

■ホンダPUもフルパワーで稼働

 55周目を過ぎてさらにペースを上げた。「エンジン・モード・イレブン」の指示があり、60周目からはトップのルクレールを視野内にとらえる。


 ホンダPUのモード設定で限りなく予選に近いフルパワーが与えられ、マッチレースへ。ルクレールの前方には周回遅れのピエール・ガスリーがいたが、彼はルクレールとチームメイトにすんなり譲った。


 67周目に0.535秒差に接近すると、1コーナー通過後にラインをまたずらした。フェイントに見えたがそうではなく、クーリングのためにそうした(のだろう)。


 この動きがルクレールには“牽制アクション”に映り、3コーナーでインサイドに入られそうになった。並走のまま4コーナーでルクレールはきわどく守ったものの、リヤのトラクションが明らかに低下、きびしい。


 68周目を0.598秒後方で通過。そして1コーナーを力強く加速、フェラーリのテールにすっぽり入り込むと、2コーナーで右へ急角度に瞬間移動(!)。


 ルクレールの後方視界から一瞬姿を消すかのようにまっすぐインサイドへ。そして3コーナーにふたりがほぼ同時に進入した直後、クリッピングポイントから並んだまま両者はタッチ……。


 思い出されたのは2016年のF1オーストリアGP最終ラップだ。全く同じ場所でイン側のニコ・ロズベルグとアウト側のルイス・ハミルトンが接触。


 ウイングにダメージを負ったロズベルグは失速し4位へ、ハミルトンが勝利となった。そして審議対象となりロズベルグに対し10秒タイムペナルティが科せられた(順位変化は無かったが)。


 あれとは異なるフェルスタッペンとルクレールの動きを、スチュワード・メンバーはレース後に時間を費やして精査。


 レーシングインシデントと裁定。カナダGPから3戦つづいた競技の終了後、<結果がコース外で決まる>事態にはならなかった。今後に向けてこれが一つの判例になるだろう。


 モータースポーツにおける勝利の瞬間は、競技(レーシング)のなかで決するのが好ましい。――最後にスクーデリア・フェラーリが上訴はせず、結果を受け入れたことを加えておきたい。

2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を応援する熱狂的なファンたち
2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を応援する熱狂的なファンたち


2019年F1第9戦オーストリアGPで優勝を飾ったマックス・フェルスタッペン
2019年F1第9戦オーストリアGPで優勝を飾ったマックス・フェルスタッペン



(Jun Imamiya)


レース

11/29(金) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 結果 / レポート
11/30(日) スプリント 23:00〜24:00
予選 27:00〜
12/1(日) 決勝 25:00〜


ドライバーズランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン403
2位ランド・ノリス340
3位シャルル・ルクレール319
4位オスカー・ピアストリ268
5位カルロス・サインツ259
6位ジョージ・ラッセル217
7位ルイス・ハミルトン208
8位セルジオ・ペレス152
9位フェルナンド・アロンソ63
10位ニコ・ヒュルケンベルグ35

チームランキング

※ラスベガスGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム608
2位スクーデリア・フェラーリ584
3位オラクル・レッドブル・レーシング555
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム425
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム86
6位マネーグラム・ハースF1チーム50
7位BWTアルピーヌF1チーム49
8位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム46
9位ウイリアムズ・レーシング17
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー0

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