トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はフランスGP、オーストリアGP、イギリスGPを、甘口の視点でジャッジ。
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F1史上初の3週間連続の開催となったフランスGP、オーストリアGP、イギリスGP。この3連戦で、トロロッソ・ホンダは残念ながら、ポイントを獲得することができなかった。
イギリスGPの予選後、ピエール・ガスリーは、ここ数戦の不調の原因をストレートでのスピード不足だと語った。
「現時点でストレートで僕たちは大きくタイムを失っている。フォース・インディアやザウバーと比較してコンマ9秒くらいだ。GPSを見ると、コーナーは速いけど、ストレートが遅すぎる。コーナーでコンマ9秒を取り返すことはできない」
しかし、シルバーストンで最高速地点となるハンガーストレートエンドでの予選でのガスリーのスピードを見ると、時速316.8kmで全体の14番目の速さだった。フォース・インディアはエステバン・オコンが時速323.3km、ザウバーはシャルル・ルクレールが時速320.3kmだから、「コンマ9秒」という数字は置いておいて、ガスリーが直線で遅く感じるのもわからなくはない。
しかし、対ルノー勢と比較すると、それほど遅れているわけではない。12位のダニエル・リカルド(時速317.4km)、13位のカルロス・サインツ(時速316.9km)らルノー勢とほほど同じ。ニコ・ヒュルケンベルグ、フェルナンド・アロンソ、ストフェル・バンドーンはガスリーよりもストレートスピードは遅かった。
ガスリーは「コーナーは速いけど」と言っていたが、同じくイギリスGPの予選時のフィニッシュラインでのスピードを比較すると、むしろトロロッソ・ホンダは最高速よりも中速コーナーの出口のほうが圧倒的に遅かった。最高速で12位だったリカルドのフィニッシュラインのスピードは12位で、最高速で13位だったサインツは14位。これに対して最高速13位のガスリーは18位に後退していた。
つまり、ストレートでのスピード不足はホンダPUのパワー不足ももちろん無関係ではないが、コーナーの立ち上がりで踏めていない車体側にも問題があったと考えるのが自然だ。
そのような状況だったにも関わらず、オーストリアGPでガスリーは残り8周までポイント圏内を走行していた。ブリスターがひどくなって終盤に立て続けにオーバーテイクを許して11位に終わったが、1年前よりも前進していた。
13位に終わったイギリスGPも、チェッカーフラッグを受けたときは10位だった。13位降着は、レース終盤にセルジオ・ペレスをオーバーテイクした際の接触を問われ、5秒加算のペナルティを受けたためだったが、そもそも最後のセーフティーカーが出たタイミングではガスリーはペレスの前を走っていた。そのセーフティーカー明けの瞬間にオーバーテイクされていなければ、その後ペレスと接触することにもならなかったし、ペナルティを受けることもなかった。
レースというのは、車体・パワーユニット・ドライバーの3つの要素がうまく噛み合わないと、結果は出ない。3連戦で無得点に終わったのは、トロロッソ・ホンダにそのポテンシャルがなかったわけではないし、ガスリーが言うほど悲観すべきでもない。まずは自分たちが持っている力をしっかりと出す。次戦ドイツGPとハンガリーGPの2連戦でのトロロッソ・ホンダの戦いぶりに期待したい。
(Masahiro Owari)