トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は2018年F1第6戦モナコGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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第6戦モナコGPでピエール・ガスリーが7位に入賞した。トップ3チームを除いた中団争いの中では、6位のエステバン・オコン(フォース・インディア)に次ぐ上位入賞である。モナコGPではオコンの後塵を拝したガスリーだが、6点を追加してドライバーズ選手権ポイントは18点となった。
これにより、選手権のポジションはフォース・インディアの2人を抑えて11位となった。さらにコンストラクターズ選手権でもノーポイントに終わったハースに並んだ。ハースは序盤の中団グループの中で最も競争力があったチーム。6戦を終えて、そのハースに追いついたモナコGPでのガスリーの7位は非常に価値がある入賞だった。
ガスリーのモナコGPでの7位入賞には、選手権ポイント以外にも、価値がある結果となった。それはトロロッソ・ホンダの美点が確認できたことである。
第2戦バーレーンGPで4位入賞を果たしたトロロッソ・ホンダはその後、中国GPとアゼルバイジャンGPで失速。チームはさまざまな解析を行い、スペインGPで改善は見られたが、それがなんだったのかが、モナコGPの快走でより明らかなった。
モナコGPの舞台であるモナコ市街地サーキットは、狭く曲がりくねっているため、速く走るにはそれぞれのコーナーの立ち上がりでのトラクションのかかりが重要となる。そのモナコでトロロッソ・ホンダはガスリーが「過去数戦と比べて、モナコではクルマの調子が本当に良かった!」と、予選で今シーズン2度目のQ3進出を決めた。
ガスリーだけではない。チームメートのブレンドン・ハートレーも「この週末はずっと調子が良かった」とフリー走行3回目まではガスリーよりも速いタイムを刻んでいた。15番手からスタートしたレースでも、終盤に追突されてリタイアするまでは11番手を走行。ピットレーンのスピード違反による5秒ペナルティさえなければ、入賞まであと一歩という走りを披露していた。
ガスリーが4位に入賞したバーレーンGPのコースも、低速コーナーのあとにストレートがあるため、トラクションが重要だった。つまり、トロロッソ・ホンダのマシンは低速コーナーでのトラクションのかかり具合が優れたマシンだということだ。
美点が確認されたことで、弱点もはっきりした。中国、アゼルバイジャンでの失速は、サーキット特有の要因によるものだということだ。そのひとつが、マシンの空力が中高速コーナーに弱点を抱えていること。もうひとつは風の影響を受けやすいことだ。
これでトロロッソ・ホンダが今後、取り組まなければならない課題は明確になった。モナコGPでのガスリーの快走は、7位以上に価値のあるものだった。
(Masahiro Owari)