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【トロロッソ・ホンダ/ガスリー密着コラム】モナコで大健闘の7位。予選のミスがなければメルセデスに挑めた可能性も

2018年6月4日

 2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。


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 フランス人レーシングドライバーの例に漏れず、ピエール・ガスリーはモナコの市街地レースに特に苦手意識は持っていない。それどころか本人は、「ミスがクラッシュに直結する、あの緊張感がたまらない」「他のどこにもない、モナコならではの雰囲気も大好き」だと言う。


 なのに下位カテゴリー時代は、なかなか結果を出せずにきた。フォーミュラ3.5では優勝を飾っているが、F1直下のGP2では2シーズンとも表彰台どころか入賞もできなかった。GP2初年度の2015年は戦闘力のないマシンだったこともあるが、予選でトップ10に入れず、レースも14位、10位が精いっぱい。翌年はタイトルを獲得したシーズンだったが、予選中の車検指示に従わないミスを犯し、ピットレーンスタート。15位、13位に終わっている。


 そんな因縁もあって、ガスリーはF1での初モナコにかなり気合いが入っていた。前戦スペインGPはもらい事故で1周目リタイアに終わったが、マシンの復調は明らかだ。トロロッソはもともとモナコが得意で、去年までの過去3年間、カルロス・サインツが連続入賞を果たしている。


 初日フリー走行はやや手こずったガスリーだったが、セッティングを大きく変えたFP3ではチームメイトのハートレーに次ぐ8番手の速さを見せる。そして予選本番も、第2戦バーレーンに次ぐ予選Q3に進出した。しかし10番手という順位には、本人も大いに満足というわけではなかった。


「プールの二つ目の高速シケインで、大きくタイムロスしてしまった。しっかりタイムをまとめられてたら、6番グリッドの可能性もあった」。


 普段はドライバーの走りについてあまり言及しないホンダの田辺豊治テクニカルディレクターも、「モナコはドライバーの頑張りが、ひときわ重要。Q3に何とか引っかかればいいやというレベルのクルマでは、なかったんですけどね」と、けっこう辛辣なコメントだった。


 ところが決勝レースでのガスリーは、素晴しい走りを見せた。Q2のアタックで使用した中古のハイパーソフトでスタート。全78周の半分近い37周まで引っ張り、7位入賞を果たしたのだ。バーレーンの4位ほど大騒ぎはされなかったが、今回は上位陣がほぼ全車完走した中での7位という点では、大健闘と言っていい。直近のライバルである中団グループでは、フォースインディアのエステバン・オコンのみに先行された。


 トロロッソのSTR13がモナコのコースでのハイパーソフトとどんぴしゃりの相性だったことも大きいが、タイヤをしっかり持たせつつ、攻めるべきところではプッシュし続けたガスリーのメリハリのあるドライビングが何より素晴しかった。もしチームの目論見通り6、7番手のグリッドから出ていたら、オコンはもとより、ハイパーソフトのペースに苦しみ、「明らかにトロロッソ・ホンダの方が速かった」と言っている5位のバルテリ・ボッタスと、いい勝負をしていた可能性もある。


「下位カテゴリー時代の僕は、決してタイヤを持たせる運転はうまくなかった」と、レース後のガスリーは述懐していた。
「タイヤの使い方がうまくない」なんて、自分から言うF1ドライバーも珍しい。そこがガスリーの好感の持てるところでもあるし、その後の努力で今はすっかり自信が付いたということなのだろう。

 次戦カナダはパワーがモノをいうコースだが、ハートレーに続いてガスリーも「ホンダは新しい仕様のパワーユニットを投入するよ」と、ポロッと漏らしていた。ただし当のホンダは投入のタイミングを決めかねているようで、どちらになったかは現地に行ってみるまでわからない。


 とはいえ車体側の大幅改良は決まっており、これまで以上に戦闘力が上がることはほぼ間違いない。勢いに乗るガスリーは、同じ市街地サーキットながらモナコとはまったく違う特性のカナダで、はたしてどんな走りを見せてくれるだろう。



(取材・文 柴田久仁夫)


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