トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は2018年F1開幕戦オーストラリアGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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開幕戦でMGU-Hにトラブルが発生し、ピエール・ガスリーがリタイアした。レースはどんなに速くともチェッカーフラッグを受けなければ、結果は残らない。したがって、リタイアという事態を招いたこと自体は、厳粛に受け止めるべきだろう。
「確実にレースを走りきる。それが第一の目標であり、われわれにとっての第一歩」とレース前に語っていた田辺豊治F1テクニカルディレクター。レース後、オーストラリアGPの評価を尋ねられると、「0点」と厳しく採点したのも、そんな理由からだった。
だが、収穫がまったくなかったわけではない。
オーストラリアGPでトロロッソ・ホンダが得た収穫は、2つあった。ひとつはトロロッソのSTR13という車体とホンダのRA618Hというパワーユニットのパッケージが第2集団の中で戦えるだけのポテンシャルを見せ、かつ今シーズンが初のフル参戦となる2人のドライバーにもポテンシャルがあることを感じられたことだ。
予選でトロロッソ・ホンダの2台はQ1落ちに終わったが、これは最後のアタックで2人ともミスを犯したことが直接の原因。もし、ミスをしていなければ、「1コーナーでミスしてコンマ2、3秒失った」というブレンドン・ハートレーは余裕でQ2へ進出したし、「ミスした3コーナーまではブレンドンより0.2秒速かった」というガスリーは12番手ぐらいのポジションにつけられていたかもしれない。
もちろん、ミスも実力のうちだが、このミスによってトロロッソ・ホンダの2人の評価が即、下がるかといえば、決してそんなことはない。オーストラリアGPが行われたアルバートパーク・サーキットは公道を利用した市街地サーキット。路面は滑りやすくバンピーで、経験の差が出やすい。
昨年はルーキーのランス・ストロールとフル参戦1年目のストフェル・バンドーンがQ1落ちしているが、2人はその後、しっかりとポイント争いをしている。トロロッソ・ホンダの2人も、今回の経験はさまざまな意味で役に立っていることだろう。
もうひとつの収穫は、ハートレーの完走だ。ガスリーのPUに発生したMGU-Hのトラブルの原因はまだ発表されていないが、完走したハートレーのPUのデータがひとつのヒントになるかもしれない。
もし、完走したハートレーのMGU-Hのデータを精査して、異常が見当たらなければ、ガスリーのトラブルはバッチトラブル(あるロットだけに発生した製造上の問題)だった可能性もある。
そういう点では最下位だったが、ハートレーの完走はチームにとって、とても意味のあるフィニッシュだった。
(Masahiro Owari)