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【F1新車分析】フェラーリSF71H:流行元となったサイドポッドはさらに洗練。バックミラーにも一工夫

2018年3月1日

 F1iのテクニカルエキスパート、ニコラ・カルパンチエが各チームの2018年F1ニューマシンを分析。前年型の発展型となるフェラーリSF71Hのポイントをチェック。
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(1)さらにアグレッシブな改良

F1新車分析:フェラーリSF71H

 メルセデスのW09同様、フェラーリSF71Hも前年型の正当な発展モデルといえる。中でも最大の特徴といえる大きなレーキ角は、しっかり存在を主張している。一方でホイールベースは、「やや長くした」と、テクニカル・ディレクターのマッティア・ビノットは言明する。


「もともと低速区間では群を抜く速さを見せていたが、高速セクションがやや苦手だった。ホイールベース延長は、そこでのパフォーマンス向上が主な目的だ」


 今季のレッドブルやウイリアムズなどがこぞって模倣したサイドポッドも、昨年型をさらに洗練させた。開口部を極限まで狭くしたことで、その下のアンダーカットと呼ばれる部分が果たす空力的役割は、これまで以上に大きくなっている。

F1新車分析:フェラーリSF71H

 それにしても開口部の面積の減少ぶりには、驚く他ない。黄色の矢印や点線で示すように、横幅はほとんど半分になっているのだ。そのおかげで車体両脇からリヤへと流れる気流はいっそう密度を増し、気流の剥がれも少ない。その結果、空気抵抗は昨年型以上に減り、逆にダウンフォースは増加しているはずである。


(2)気流の迂回

F1新車分析:フェラーリSF71H

 走行中のF1マシンの気流は、フロンウイングによって高く跳ね上げられる(白矢印)。それに逆らうかのように空力エンジニアは、サイドポッド下部からマシンリヤへの十分な気流確保に腐心する。その際に重要な役割を果たすのが、フロントサスペンションの形状と取り付け位置である。21世紀のF1マシンにおいてサスペンションは、空気をきれいに流すのに欠かせない空力パーツでもあるのだ(黄色矢印)。そしてもうひとつ、車体両脇に付けられたターニングベインやバージボードも、大きな役割を果たしている(青矢印)。

F1新車分析:フェラーリSF71H

(3)ミラーにも穴が!
 ユニークなのは、バックミラーにも穴が開いていることだ。内部にはミニウイングが装着され、気流は上下に分割されて後方へ。サイドポッド上部に開いた開口部へ導かれていく(青矢印)。ということはこの気流は主に、冷却用ということだ。ここまで複雑な構造にこだわったのは、サイドポッドのメイン開口部の面積をできるだけ小さくしたかったからだろう。


(4)色濃いマクラーレンの影響
 SF71Hのフロントウイング、特に内側の形状は、明らかに昨年型マクラーレンの影響が顕著である(黄色と白矢印)。この部分の役割は、発生させた渦流を効率良く車体両側へと流すことだ。一方でウイング外側のアーチは去年型より湾曲が小さくなっており(赤矢印)、こちらはむしろメルセデスのコンセプトに近い。


(5)影響はフロントウイングの支柱部分にも
 昨年型マクラーレンとの類似は、それだけに留まらない。フロントウイングの支柱部分はかなり幅広になり、切り欠きが入った。切り欠きの数自体は少ないが、明らかにマクラーレンMCL32の影響を受けている(黄色矢印)。そのデザインを最適化させるため、ノーズ先端の湾曲もいっそう丸みを帯びたものとなった(青矢印)。


 一方ターニングベインは去年型のユニークな形状から、レッドブルRB13に代表されるようなより普遍的なデザインになっている。


(6)空力再考
 コクピット両脇にあった2枚のデフレクターは、SF71Hでは消滅(白矢印)。一方でバージボードは上部が形状変更されている(黄色矢印)。またサイドポッド両脇にあるレノボのロゴの付いたパネルは、デフレクターと一体化してサイドポッド開口部を包み込む形となった(青矢印)。これらは前輪が起こす乱流を防ぐ役目を担うものだ。


(7)エアインテークとハロ
 ドライバー上部のエアインテークが3分割なのは、今年型も変わっていない。しかし形状は他の多くの新車同様、メルセデスのそれに類似している。一方ハロ上部のデフレクターは、マクラーレンとトロロッソが去年のアブダビで試したものを参考にしたと思われる。
 ハロは構造物自体が9kg、接合部が6kgあるが、今季の最低重量は6kgしか引き上げられていない。そのためバラストの積載自由度は、明らかに減っているようだ。軽量化の進展次第だが、ひょっとするとまったく積めない事態も考えられる。去年のフェラーリは短いホイールベースの利点を活かし、メルセデス以上に自由にバラストを詰めたのだが。


(8)車体の内部に秘密あり?
 メルセデスとは対照的に、フェラーリは比較的大型のミニTウイングを投入した。装着位置もレギュレーションで認められたぎりぎり最上部である。


 リヤウイングの支柱が2本になっているのは、ハースVF18とウイリアムズFW41と同じソリューションだ。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(Translation:Kunio Shibata)


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