朝から雨が降り続いた土曜日のモンツァ。予選は予定通り午後2時にスタートしたものの、開始から4分後にロマン・グロージャンがホームストレート上でハイドロプレーニング現象を起こしクラッシュ。いきなりセッションは赤旗中断となった。
マシンはすぐに除去されたが、雨脚が強くなり、セッションはその後、2時間半以上にもわたって中断した。
雨脚が弱まった午後4時40分に再開された予選は、雨量によって路面状況が微妙に変化する難しいコンディションとなったが、マクラーレン・ホンダの2台はQ1を危なげなくそろって通過。Q2も2台そろって通過できるスピードを見せたものの、フェルナンド・アロンソは無理をしなかった。
「ストフェルのポジションを見て、僕がトップ10に入ることで、彼をノックアウトしたくなかったんだ」(アロンソ)
結果的にQ2の最後のアタックでストフェル・バンドーンは自己ベストを更新して9番手のタイムをマークしたため、アロンソが自己ベストを更新しても2台そろってQ3に進出することはできたが、すでにパワーユニット交換して35番手降格が決定しているアロンソにとってQ3進出はレースに向けて意味を持たないため、自重。予選は14位で終えた。
今シーズン4回目の予選トップ10となったバンドーンは、Q3でもミスのない走りを披露していたが、予定よりも早めにピットインして予選を終えた。
「ストフェルがQ3で早めにピットインしたのは、MGU-Kの駆動が急に切れてしまったからです。初日にフェルナンドのパワーユニットに起きた問題かとも疑いましたが、どうやらメカニカルに駆動が切れた可能性が高かったため、ピットインさせました」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語る。
MGU-Kに関しては、シーズン序盤にもシャフトが何度か折れる問題が出ていたため、その後はレースごとに新品に交換するよう、ホンダは対策を施していた。MGU-Kのシャフトは、交換してもペナルティにはならないため、バンドーンにグリッド降格のペナルティは科せられない。逆に予選2位と3位を獲得したレッドブルの2台はともに15番手以上の降格ペナルティが科せられているため、バンドーンは8番手からスタートする。
だが、もし駆動が急に切れた原因がシャフトの破損ではなかった場合は、パワーユニット交換も考えられるため、安心はできない。
だが、いずれにしても日曜日はドライコンディションが予想されている。
「モンツァは高速サーキットということで、クルマは空力的にレスダウンフォース仕様にしていたので、金曜日のドライで2台そろってトップ10に入ったのは、ある程度予測していました。土曜日のウエットコンディションになることはわかっていましたが、日曜日のレースは再びドライになるという予報だったので、ダウンフォースをつけるわけにはいきませんでしたから、その仕様でよくあそこまで走ったと思っています」(長谷川総責任者)というように、マクラーレン・ホンダはドライのレースを想定して準備している。高速モンツァでポイントを賭けたバンドーンの走りに期待したい。
(Masahiro Owari)