マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はF1第11戦ハンガリーGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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「今回の結果はラッキーではなく、ペース的にも6番手と7位番手あたりだったので、実力で獲得したダブル入賞」
フェルナンド・アロンソが6位、ストフェル・バンドーンも10位に入ったハンガリーGPのレース後、長谷川祐介ホンダF1総責任者は今シーズン初めて2台そろってポイントを獲得したレースをそう評価した。
マクラーレン・ホンダのダブル入賞は、これまで5度ある。1回目が初年度の2015年のハンガリーGPでアロンソが5位、ジェンソン・バトンは9位だった。2年目の2016年は4戦目のロシアGP(アロンソ6位、バトン10位)を皮切りに、第6戦モナコGP(アロンソ5位、バトン9位)、第16戦マレーシアGP(アロンソ7位、バトン9位)、第18戦アメリカGP(アロンソ5位、バトン9位)とシーズンを通して力強い走りを披露していた。
今回のハンガリーGPのレースで、マクラーレン陣営がアロンソのピットストップのタイミングを少し引っ張っていたのは、ルノー(パーマー)やハースの後ろに回りたくなかったからだった。つまり、ハンガロリンクに限って言えば、マクラーレン・ホンダは中団の中で上位の速さがあった。
その最大の要因が、マクラーレンの車体にあることは言うまでもない。ハンガロリンクでもフロアとリアウイングをアップデート。あるエンジニアは「モナコはドライバーの腕の差が結果を左右するが、ハンガロリンクは車体性能が大きく反映されるコース。そこでメルセデスが苦しんだということは、車体性能だけならトップ3に入っている」と言うほどだ。そのエンジニアによれば、トップ3のあとの2チームはレッドブルとフェラーリだという。
ホンダの長谷川総責任者も、2台そろってスペック3エンジンを使用したイギリスGPあたりから、「昨年とだいたい同じポジションに戻ってきた。イギリスGPではポイント獲得はならなかったが、フォース・インディア、ウイリアムズとほとんど同じペースだったことは評価したい」と、前半戦の失速から立ち直ってきたことをうかがわせる発言をしていた。
ハンガリーGPで9点を追加して合計11点にしたマクラーレン・ホンダは、ザウバーを抜いてコンストラクターズ選手権の最下位を脱出した。とはいえ、ひとつ上のランキング8位のルノーは26点とその差は15点もある。ただし、昨年はベルギーGP以降の後半戦だけでマクラーレン・ホンダは34点を獲得しており、挽回できない差ではない。
もちろん、そのために最も必要となる武器は、スペック4であることは言うまでもない。F1は夏休みに入ったが、HRD SakuraのF1スタッフにのんびり夏休みを取っている余裕はない。
(Masahiro Owari)