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小松礼雄コラム第10回:明暗分かれたレッドブルリンク〜シルバーストンの2連戦

2017年7月28日

 ハースF1チームのチーフエンジニアとして今年で2年目を迎える小松礼雄氏。創設2年目の新興チームであるハースはどのようにF1を戦うのか。現場の現役エンジニアが語る、リアルF1と舞台裏──F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラムの第10回目をお届けします。

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鍵となったダウンフォースレベル、ブレーキ、タイヤの3大要素
 2週連続開催となりましたが、まずロマン(グロージャン)が今季最高の6位入賞を果たしたオーストリアGPから振り返りたいと思います。金曜日からマシンの感触は良かったのですが、予選であそこまでレッドブルの近くにいけるとは正直、予想していませんでした。

(ダニエル)リカルドのレースエンジニアは昔からの知り合いで仲が良く、レース後に空港で話したのですが、彼らも予選で僕らに負けるんじゃないかと冷や冷やしていたそうです(笑)。

残念ながら、Q3では電気系統のトラブルでセッション中にマシンが止まってしまい、ロマンはニュータイヤで走れなかったのですが、それでもニュータイヤを履いてアタックした(セルジオ)ペレスより速いタイムを記録しました。もう一度アタックできていれば、おそらく1分5秒2くらいまではいけたと思うので、レッドブルと約0.3秒差で予選を終えられていれば、素晴らしい結果だと言えたでしょうね。

 オーストリアGPで我々がそこまで速さを発揮できた要因は、まずマシンのダウンフォースレベルがサーキット特性に合っていたことです。その前のレースのバクーではドラッグを削る為に大幅にダウンフォースを減らさなければいけなかった為、マシンのパッケージとしてはあまり良くありませんでした。

 でも、レッドブルリンクではセクター3のタイムを見てもらえれば分かるとおり、ターン7、9、10の3つの中高速コーナーで速さを発揮することができ、ロマンがトップ3チームに迫るタイムをマークしていたんです。我々のマシンの強みである中高速コーナーでの速さをうまく活かせるコースレイアウトだったわけです。

 それから、アゼルバイジャンGPで問題となっていたブレーキの改善に取り組んだことも効果を発揮したと考えています。グランプリ終了後にはデータを解析し、ブレンボともミーティングを重ねました。ディスクは同じスペックのものしかないので、どうやってそれをもっとうまく使えるかという解析した結果、ドライバーが自信を持って走ることができました。

 そして、もうひとつの大きな要素がタイヤをきちんと働かせることができたことです。これらの要因が重なり合って残せた好結果だと認識しています。

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