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F1開幕戦で露見した、メルセデスのまさかの綻び。足下に難ありか──【今宮純の視点】
2017年3月27日
フェラーリが実力で勝ち、メルセデスは実力で負けた。2016年には見られなかったことが起きた。レッドブルが昨年に2勝したその勝因は敵がパワーユニット(PU)トラブルや同士討ちで自滅していったから。さかのぼればこの実力勝ちパターンレースは、2015年マレーシアGP以来のことだ。
セバスチャン・ベッテル43勝、フェラーリ225勝目、それでも彼らは大はしゃぎせずに心の底で噛みしめているように映った。逆に2位ルイス・ハミルトンは悔しさを見せずベッテルとフェラーリを表彰台で称え、メルセデス首脳陣もそうだった。深読みするなら、ハミルトンはとりあえず新人バルテリ・ボッタスを初戦で圧倒したからそれでよし、チームも新シーズン最初にフェラーリに花を持たせてまあよしとしよう……。この新時代オープニング勝負にある種のスポーツ・エンターテイメント性を感じた(バーニー・エクレストン主導から新オーナー会社に変わったこれが第1戦)。
次々に予想外のことが起きるのが開幕戦だ。短時間に変わったレコノサンスラップ中に母国GPのダニエル・リカルドがストップ、即トラックが出動しピットに移送。この素早い動きは地元だからか。それにしてもレッドブルが3年連続1台しか正規スタートできないとは(何とか3周目にピットからスタートするもリタイア)。この影響でスタートではグリッド位置の問題が起きてエキストラフォーメーションラップに変更、「58−1周」レースに。
混乱したがスタートでは波乱はなかった。クラッチ操作が新規定でマニュアル化されダッシュ時の変動や、1コーナーでワイドマシンの接触など危惧されたがそれはなかった。PPハミルトン〜ベッテル〜ボッタス〜キミ・ライコネン~マックス・フェルスタッペンの順はそのまま、中団グループにもアクシデントはない。
首位ハミルトンを2位ベッテルが1秒台間隔で追尾。後方乱気流を浴びているのにぶれない走り、次第にハミルトンの方にスライドが目立ってきた。予想外のことだ。同じウルトラソフトでこの違い、メルセデスは後輪が滑り出しオーバーヒート、それがセクター3で顕著になっていった。見抜いたベッテルはあえて仕掛けず間隔を保ちタイヤを温存、これぞ背後からのプレッシャー走法だ(!)。
■昨年のF1タイヤテストでレギュラー不在。その影響が!?
17周目、たまらずハミルトンが自分の意志で早めにピットへ。ここで入ると4位フェルスタッペンの後ろになるが、それでも決断せざるを得なかったピンチ。もうアンダーカットするどころではない。タイヤデータ的に彼らがフェラーリに劣るのが暴露された瞬間であった(テストと本番は違うのだ)。
すると予想外のことがまた起きていった。1位ベッテルが23周目にピットへ、そのインラップでトラフィックに遭いロスしたがぎりぎり、フェルスタッペン+ハミルトンの前で戻れた。ベッテルのアウトラップは1分33秒830で、フェルスタッペンは1分31秒016、ハミルトンは1分31秒474。レッドブルは2秒もこの周だけペースが落ち、それにつき合わされたメルセデスはピットアウトしたフェラーリに先行されてしまう。
決定的瞬間後、ベッテルとハミルトンのギャップは25周目になんと5.898秒差に広がる。その直後フェルスタッペンはピットへ、ひとつの見方としてあえて言うなら「ベッテル援護射撃」を済ませてからの行動か──。
それからはベッテル独走展開、彼のソフトのペースに王者はまったく対抗できない。自己ベストラップは44周目に記録した6番手タイム、序盤ウルトラソフトでも終盤ソフトでもハミルトンのペースは予想外に遅かった。
そればかりか気になったことがもうひとつ。最速ラップはライコネン、2番手ボッタスでトップ8にベッテル、ダニール・クビアト、フェルスタッペン、マグヌッセン、カルロス・サインツJr.がずらり、メルセデスPU勢はひとりもいないのだ。これはめったになかった事実、ここから考えられるのは彼らが一様に、2017年ピレリタイヤとのマッチングになにか問題を抱えていたのではないのか?
ハミルトンが訴えたオーバーヒート症状、グリップ低下、デグラデーション現象などを、メルセデスPUメンバー以外は言及していない。まだ1戦だけだが17年タイヤは特性が変化、ビッグパワー&トルクのメルセデス最新スペックPUには厳しいのだろうか。あるいは(大胆に言うなら)昨年までのメルセデス指向から、フェラーリ方向に変わったのだろうか。
そこで思い出すことがあった。昨年10回実施された「17年試作タイヤ開発テスト」に、フェラーリが最も多くレギュラーを走らせ、メルセデスは2人のレギュラードライバーを起用せず大半をテストドライバーのパスカル・ウェーレインに担当させた。そのアドバンテージは少なくないはずだ。
今年の20分の1レースに勝ったベッテルとフェラーリははしゃがず、負けたハミルトンとメルセデスは悔しがらず余裕しゃくしゃく。その開幕戦勝敗の温度差が、新しいシーズンの新たな変化ではないだろうか。
(Text:Jun Imamiya)
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6/8(土) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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予選 | 結果 / レポート | |
6/10(月) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 194 |
2位 | シャルル・ルクレール | 138 |
3位 | ランド・ノリス | 131 |
4位 | カルロス・サインツ | 108 |
5位 | セルジオ・ペレス | 107 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 81 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 69 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 55 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 301 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 252 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 212 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 124 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 28 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 5 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |