予想通り、ホンダがマレーシアGPでアップデートしたパワーユニットを投入してきた。ただし、投入するまでに至る過程と、投入のされ方がやや複雑なので、整理しながら説明していきたい。
まず、この新しいパワーユニットをマレーシアGPに投入したのは、フェルナンド・アロンソだけだった。新しくなったのは、ICE(内燃エンジン 8基目/10番手降格)、TC(8基目/5番手降格)、MGU-H(8基目/5番手降格)、ES(7基目/5番手降格)、CE(7基目/5番手降格)で、30番手降格のペナルティを受けることとなった。このうち、トークンを使用して改良されたのは、ICEである。ただし、それは望んでいたアップデートではなかった。
「正直、思っていたとおりのアップデートができませんでした。本来はもう少し大きい燃焼系の開発で馬力アップを狙っていたんですが、それがうまくいかなかった」と長谷川祐介総責任者。
そこでホンダは、セカンドベストとも言える方法でトークンを使用してきた。もう少し時間をかけて、燃焼系の開発を行ってからトークンを使用することはできなかったのだろうか。長谷川総責任者は、それができなかった理由を「これ以上、時間がかけられなかった」と説明した。
もし、マレーシアGPで新しいパワーユニットを投入しないと、次は鈴鹿となるが、チームはホンダの地元である鈴鹿でペナルティを受けさせたくないため、日本GPで新しいパワーユニットを投入することはない。そうなると、早くてもアップデートできるのはアメリカGP以降となる。アメリカGPは18戦目なので、残りは4戦。
「どこかのタイミングで開発のシフトを来季へ移さなければならないわけですが、残り4戦のために引っ張るという選択肢はなかった」
つまり、時間切れとなったため、マイナーアップデートを入れてきたわけである。そして、事実上、ホンダの2016年の開発は、今回のスペックが最終バージョンとなり、残る1トークンを使用することはないという。