好天が続き、真夏のような暑さとなった2016年のF1ベルギーGP。いわゆるスパ・ウェザーによる波乱はなかったものの、スタート直後の接触劇をはじめ、多くのドラマが生まれた。オールドコースの44周を無線交信から振り返る。
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<LAP1>
キミ・ライコネン→「はっきりわからないけど、何かダメージがありそうだ」
セバスチャン・ベッテル→「リヤをチェックしてくれ、フロントもだ。いったい何が起きたんだ!?」
←「タイヤは大丈夫だ」
→「でも(マシンには)ダメージがあると思う」
マックス・フェルスタッペン→「彼(ライコネン)が僕に突っ込んできたんだ!」
カルロス・サインツJr.→「パンクチャー! パンクチャー! XXXX! パンクチャーだ!」
<LAP3>
キミ・ライコネン←(周回遅れとなり)「後ろの上位勢を引き離せないようなら、青旗を振られて譲らなければならない。ベストを尽くしてくれ」
<LAP4>
ダニエル・リカルド→「いまはフロントに苦しんでいる。コーナー出口でリヤに悪影響を与えている」
<LAP6>
ジョリオン・パーマー←「セーフティカーだ。オー・ルージュでケビンが大クラッシュした。彼は大丈夫だ」
ルイス・ハミルトン←「オー・ルージュでは右側を走るな」
→「ドライバーは大丈夫?」
←「ああ、マグヌッセンはOKだ」
<LAP7>
フェルナンド・アロンソ→「聞いてくれ、ダッシュボードのデルタ・タイムが表示されていない。前のクルマについて同じペースで走るしかない」
←「了解、そのとおりやってくれ。審議対象にされたら、そう伝える」
ニコ・ロズベルグ←「リヤにブリスターは出ている?」
→「出ていない」
<赤旗中断>
ニコ・ヒュルケンベルグ→「スーパーソフトではレッドブルと同じようなペースで走れていたよね?」
←「そうだ、ソフトのレッドブルと同じだった」
セバスチャン・ベッテル←「バリアの修理が必要だ」
→「僕も、そうだと思っていたよ」
ニコ・ヒュルケンベルグ→「燃料を捨てることは、できないの?」
←「許されていない。ファイアアップして燃料を燃やすしかない」
フェルナンド・アロンソ←「ほとんどのクルマはプライムタイヤが1セットしかない。だから我々はプランAのままで行って様子を見よう」
<LAP12>
キミ・ライコネン→「レッドブルに譲らなければならないのか? 彼がゲインしたのは僕を完全にコースから押し出したことだけだろ? 僕が、まっすぐコースオフして逃げていなければ、ぶつかっていたはずだ」
<LAP13>
キミ・ライコネン→「カモン、XXXX! バカげているよ! 僕がフルスピードで走っているところに右へ寄せてきたんだ!」
←「了解、了解。バカげているよ」
<LAP15>
ジョリオン・パーマー←「フロントもリヤもタイヤが過熱している」
→「どうしろっていうんだ!?」
←「リフト&コーストしてくれ」
マックス・フェルスタッペン←「バランスはどうだ? 次のスティントに向けてフロントウイングの調整は?」
→「高速コーナーでアンダーステア、低速コーナーではグリップ不足だ」
<LAP18>
ルイス・ハミルトン←「(ヒュルケンベルグを抜いて)ナイスワークだ、ルイス。次はリカルドだ」
<LAP19>
キミ・ライコネン→「また左フロントがパンクさせられたかもしれない!」
←「いまのところ内圧は大丈夫だよ」
<LAP20>
マックス・フェルスタッペン→「低速コーナーではグリップがまったくないよ。普段のグリップレベルじゃない」
ルイス・ハミルトン→「リヤタイヤがすごくスライドしはじめた」
<LAP22>
ニコ・ロズベルグ←「このタイヤをプッシュして良いぞ。プランBでいく」
ルイス・ハミルトン→「良くないポジションになってしまったかな? ソフトタイヤが速くタレ過ぎた?」
←「いいや。前のクルマも、すぐにピットインするよ」
<LAP23>
ニコ・ヒュルケンベルグ→「(ピットレーンで)アロンソが接触した?」
←「そうだ」
<LAP29>
ダニエル・リカルド←「言っていたように、ここでハミルトンを苦しめてやればレース終盤で活きてくるぞ」
<LAP30>
ダニエル・リカルド←「左リヤが少しオーバーヒートしている。左リヤだけ注意してくれ」
<LAP31>
ダニエル・リカルド←「とても良い仕事をしているよ。タイヤ温度を許容範囲に戻したよ」
<LAP32>
ルイス・ハミルトン←「もう先は長くない。ピットウインドウはほぼクリアだがヒュルケンベルグだけがギリギリだ」
<LAP33>
ルイス・ハミルトン→「これ(ミディアム)は良いタイヤ選択じゃないんじゃないか?」
←「いや、我々はこれが良いタイヤだと考えている。状況は良さそうだよ」
<LAP41>
バルテリ・ボッタス←「彼(フェリペ・マッサ)を抜いていいぞ、アロンソを捕まえろ」
<チェッカー>
ニコ・ロズベルグ←「エクセレントなレースだった! 本当に素晴らしいドライブだった。ミディアムで他すべて引き離した素晴らしいスティントだった」
←「ファンタスティックなドライブだった。よくやったよ、ニコ」(パディ・ロウ)
→「ありがとう、パディ。素晴らしいリザルトだよ」
(米家峰起/Text:Mineoki Yoneya)