ところで、フェラーリとメルセデスAMGのデグラデーションが小さかったと申し上げましたが、もうひとりデグラデーションの度合いが小さかったドライバーがいました。それは、レッドブルのダニエル・リカルドです。リカルドは1周目のスタート直後にウイリアムズのフェリペ・マッサと接触し、左リヤタイヤをバースト。ゆるゆるとピットに戻ったため、序盤にして大きな遅れを取ってしまいました。このため、15位フィニッシュがやっとでしたが、レース中のペースは終始良く、デグラデーションも非常に小さいものでした。もしリカルドが1周目に接触せず、無事に走行を重ねていたとしたら、フェラーリには敵わなかったかもしれませんが、ウイリアムズあたりとは十分勝負できたのではないかと思われます。
さて、「これはGP2のエンジンか!」と、無線で不満を訴えていたマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソですが、実はレースペース、特に2回目のタイヤ交換からフィニッシュまでのペースは、まずまずの内容でした。そのペースは、入賞したトロロッソのマックス・フェルスタッペンやカルロス・サインツJr.と同等、ザウバーよりは速いモノだったのです。確かにパワーユニットの出力は足りず、その上ドライバーの力量に依るところが大きかったかもしれません。しかし、パワーユニット性能がモノを言う鈴鹿で、まずまずのパフォーマンスを見せたのも事実。今季中は難しいかもしれませんが、来季の浮上を期待させる一端を見ることができたデータだったと申し上げておきましょう。
さて、次のレースは2週間後、2回目の開催となりますロシアGPです。昨年はほぼタイヤ無交換でも走り切ることができたソチ・オリンピックパーク・サーキットですが、あれから1年……路面はどのように変化しているのでしょうか? コースは広くも、ウォールに囲まれたサーキット。どんなレースになるのが、ぜひご注目ください。