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【レースの焦点】世界一狭いコースで、後悔と結束力を速さに変えた「突破者」

2016年6月21日

 目の前のマシンだけでなく、俯瞰でレースを観ることができるようになったペレスの走りには無駄がない。攻めるべき時とセーブすべき時の判断が明晰で、結果ライバルとのバトルも、ずっとクリーンになった。チームを率いていく力強さも身につけたのは、メキシコGPの開催が決まった頃からだろうか。

 バクーの週末いちばん感動的だったのは、ゴールの瞬間のフォース・インディアのお祭り騒ぎと、表彰台の下では対照的に真摯に、ドライバーの言葉に耳を傾ける彼らの姿だ。毎回こんなにうまくはいかないけれど、少なくともヨーロッパGPに関しては、ペレス+フォース・インディアがハミルトン+メルセデスにできなかったことをやってのけたのだ。

入賞したものの不運もあって苦戦したニコ・ヒュルケンベルグも僚友の3位を祝福
XPB Images


 ターン16からターン1まで、2kmを超える長い全開区間=事実上のストレートは、前のマシンのスリップストリームを活かせば必ず抜けるという、F1から消えていた事象を復活させた。ライコネンを8周目にピットインさせたフェラーリは「いま入らないとリカルドにアンダーカットされる」とベッテルにもタイヤ交換を促したが、今回は、そこで冷静に判断したベッテル。アンダーカットやオーバーカット、ライバルを“カバーする”という昨今の作戦のトレンドは、F1が抜けないカテゴリーであることを前提としている。バクーのようなコースでは、ドライバー判断でタイヤとマシンの性能を活かせるかぎり、アンダーカットで前に出られても大きくロスすることなく抜き返すことが可能で、この点に関しては15〜20年前のF1に近い。

 ただし長いストレートの上にDRSを重ねるのでは、オーバーテイクも決まり事のようになってしまって魅力を失う。ホームストレートのDRSは不要だし、コースには改善すべき点が数多くある。ピット入口で4輪とも白線をまたいでしまったのはライコネンのミスであるが、インテルラゴスの場合とは異なって、なぜ新しく考えたコースに、そんな危険なピット入口を設定するのかという点が問題。国策としてバクーをアピールするために、世界一狭い通路でF1を走らせるのも、いかがなものか──。誰かが道を塞いだらセーフティカーすら通れない事実は、正常なレースを心がけた設計とは思えない。

 懸念された事故やセーフティカー出動もなくレースは無事に終了した。それは多重事故の重大性を察知した(あるいはクレーンの少なさに驚いた)ドライバー全員が慎重になったからであり、燃料消費を考慮することが必要だったからであり、無理しなくともターン16の先では必ず抜けるという“出口”があったからでもある。初開催のアゼルバイジャンが予想より単調なレースという印象だったとしたら、人々が望んでいたのは何だったのだろう?

 コースの至るところに掲げられた「WELL DONE BAKU」というメッセージは誰から誰に向けられたものだか、よくわからないが、来年はレースと安全性が向上されることを期待しよう。

(今宮雅子/Text:Masako Imamiya)





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