他の寸評を。総合4位タイムを記したニコ・ヒュルケンベルグを、現時点で今年のダークホースに挙げたい。着々とタイヤ評価を進め、残る課題はVJM09のバンプや縁石での挙動か。5位はカルロス・サインツJr.が入り、走り込む姿に2年目の成長がありあり。パワーユニットが変わったトロロッソがマイレージで2位、4883km走行は驚異だ。6位ベテランのフェリペ・マッサ、最終テストで急速挽回したFW38はリヤサスペンションの変更が決まり、バルテリ・ボッタスも前回14位タイムから7位へ上昇。8位マックス・フェルスタッペンは534周を走破、メルセデスふたりに次ぐ距離をこなしてフィードバック能力もアップ。9位ダニエル・リカルドはチーム方針に従いタイムにこだわらず、ひたすらスティントラン。ハミルトンに次ぐ11位セルジオ・ペレスは、やや距離不足だが、得意のタイヤ評価をしっかりと。
12位ケビン・マグヌッセンは509周をカバー、新生ルノーのエースとして意気込みは強い。13位ダニール・クビアトはロングランばかりだったので、ちょっと欲求不満か。14位ジェンソン・バトンはパワーユニットのテストに専念、セットアップ不十分も発言は大人っぽくポジティブ。15位フェルナンド・アロンソは何度かコースオフ、昨年より信頼性は向上したもののマクラーレン3305kmはマノーよりは上の全11チーム中、9位にとどまる。たった4日間のニュー・ザウバーC35で16位フェリペ・ナッセ、初日から103周は上々。アルフォンソ・セリスに及ばなかったルノーの新人ジョリオン・パーマーは総合18位、存分に走れなかった。マノー新人パスカル・ウェーレインは健闘19位、新生チームを牽引する力量を、さっそく発揮。20位マーカス・エリクソンはショートラン不足も今年のパワーユニット特性を確認。正真正銘の新チーム、ハースを率いるロマン・グロージャン21位はスピンしてもダメージ回避の技が光った。エステバン・グティエレスは慣熟ランで22位、新人リオ・ハリアントは学習ペースで23位。ここから彼らがどこまでポジションアップするか、2016年ひとつの見どころだ。
昨年の6.114秒差から<3.134秒差>に詰まったバルセロナ・テスト。今シーズンのキーワードはふたつ、実力接近する11チーム「濃縮イレブン」と「挑むチカラ」──来週のアルバートパークで、はっきり見ることになるだろう。
(今宮 純/Text : Jun Imamiya)