それではホンダが次にトークンを使用するのは、どのコンポーネントになるのか。すでにカナダGPでホンダはふたつのトークンを使用、新井総責任者は記者会見で「ターボチャージャーとMGU-Hに使用した」という趣旨のコメントを発している。そうなると、次に考えられるのはICEかMGU-K。エンジンのパフォーマンスアップに直結するのは本体の改良であることを考えると、ICEの可能性が高い。
ただし新井総責任者は次のようにも語っている。
「全部(トークンを)使うかどうかは未定。入れる順番がある。そこは、もう少し考えたい」
ホンダが今季使うことができるトークンは、残り7つ。それを2回に分けて使用する予定とすれば、先にICEに使うのか、あるいはMGU-Kに使うのか、夏休み期間中の開発の進捗状況によって決まるものと考えられる。ベルギーGPに投入される新コンポーネントがICEとは限らないと思われるのは、新井総責任者のこんな言葉からもうかがえる。
「ベルギーは(エネルギーの配分が)難しい。あれだけ1周が長くて上り坂とストレートが続くレイアウトだと(回生エネルギーは)どこかでなくなってしまう」
またコンポーネントのローテーションを考えても、ベルギーGPに新しいICEを投入するのは得策ではないと見方もある。ベルギーGPとイタリアGP、ふたつの超高速サーキットで使用したパワーユニットを日本GPでも使用するのは物理的に厳しい。そうなると、ベルギーGPで1〜3トークンを使用した新しいMGU-Kを投入し、日本GPで4〜6トークンを使用した新しいICEを投入──という可能性が考えられる。
いずれにしても、重要なことはいつ、何を入れるかよりも、ホンダの開発状況そのものだ。
「さくら研究所のメンバーは、出力を上げるために毎日頑張って仕事している。いま取り組んでいる内容をきちんとアップデートにつなげられれば、それなりのパフォーマンスを発揮させて、いい戦いができるはず」
2015年のF1シーズンは、まだ10戦残っている。
(尾張正博)