後方の集団にも、目を転じてみましょう。今回驚きだったのは、トロロッソとザウバーのポテンシャルの高さです。
前述の3強からは大きく大きく離されているものの、特にザウバーのナスルは、レッドブルのリカルドを完全に凌駕しました。しかもナスルはこれがF1デビューレースなのです。トロロッソのサインツJr.と17歳の新人マックス・フェルスタッペンも、デビュー戦にも関わらずレッドブルと真っ向勝負を繰り広げています。フェルスタッペンがトラブルで止まってしまったのは残念ですが、それでも、新人ふたりのポテンシャルを垣間見せたレースだったと言えるのではないでしょうか。
1周目に全滅してしまったロータスの評価は次戦以降にするとして(フリー走行と予選を見る限り、トップ3に次ぐ位置にいるように思われますが……)、ザウバーとトロロッソ、そしてレッドブルが同一の集団にいそうです。その中でも、今回の決勝レースのペースを見る限り、ザウバーが一歩抜け出している印象。特に16〜25周目のナスルのペースは、リカルドよりも毎周1秒ずつ速いものでした。リカルドはザウバーに、ついていくことができなかったのです。ザウバーの速さを讃えるのはもちろんですが、その反面レッドブルの深刻度合いを象徴する事象でもありました。
フォース・インディアはレースペースが遅く、本来ならばライバルと戦うのは難しいポジションにいると思われます。しかし、他のチームとは違う作戦(2台とも、レース後半にソフトタイヤを履いていました)、多くのライバルがリタイア、そしてエリクソンの3ストップ+サインツJr.のピットストップ時のミス……などが重なり、しかも最後までしっかりと走り切ることができたため、7位と10位という順位を確保できたに過ぎません。今後全体の完走率が上がってくれば、入賞争いに加わるのはかなり厳しくなるはずです。