フェラーリは、モナコとシンガポールという市街地2戦でトップレベルのパフォーマンスを見せましたが、その他のサーキットでは、シーズンが終盤になるにつれて徐々にそのパフォーマンスを落としていきます。第8戦〜10戦は一時戦闘力の向上が見られましたが、特にブラジル、アブダビの2戦は、トロロッソやフォース・インディアにも劣るというもの。戦略云々という次元ではなく、とにかくパフォーマンスが上がらないという印象でした。
結局2014年のフェラーリは未勝利。1993年以来、なんと21年ぶりの大不振のシーズンとなってしまいました。しかも、チーム代表がステファノ・ドメニカリ→マルコ・マティアッチ→シーズン終了後にはマウリツィオ・アリバベーネへとなんと2回も交代。フェラーリお得意の“お家騒動”が勃発したようです。スクーデリア・フェラーリは来季復活するのか? それとも低迷期を迎えてしまうのか? 期待と不安が入り交じった、複雑な状況です。
シーズン後半に戦闘力を増したのが、マクラーレンでした。第11戦ハンガリーGPでは、計算上のマシンパフォーマンスがトップのメルセデスAMGから2.57%と大きく遅れていたマクラーレン。本来ならばそこで今シーズンの開発を諦め、来季用マシンの開発にシフトしてもおかしくはないのですが……そこからシーズン最終戦まで開発を継続し、最終的には全体で4番手チームになりました。しかも、来季用のパーツを続々と先行投入&実戦テストしており、その効果が出ていたことを見ると……来季のマクラーレンは期待してもいいのかも知れません。あとは、ホンダ製パワーユニットの出来次第です。
フォース・インディアは、シーズンを通じて1.8%程度の遅れで推移しました。数値場はライバルに遅れをとっていたものの、彼らは戦略とロングランのペースに秀でていて、着実にポイントを獲得。マクラーレンとの差はわずか26ポイントでした。本来ならば入賞すらかなり厳しいポジションに位置していましたが、無得点に終わったのは僅か2戦のみ。老舗チーム(元ジョーダン)の能力と経験を、いかんなく発揮した成績と言えると思います。
セルジオ・ペレスも頑張りましたが、特にニコ・ヒュルケンベルグの活躍が目立ちました。一発の速さよりも、着実に周回を積み重ね、戦略で前に出る……ということを遂行し、ランキング9位。彼は来季、F1への挑戦を継続すると同時に、ポルシェからWEC(世界耐久選手権/ル・マン24時間とスパ6時間のみ参戦予定)に挑戦します。ロングランの強さから想像するに、WECでのヒュルケンベルグは、大いに期待できそうです。
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