【レースの焦点】失敗しても輝く、挑戦するスピリット
2016年3月22日
それに、追う立場であってもメルセデスには王者の守りが備わっていたのに対して、首位から再スタートするフェラーリのスピリットは“チャレンジャー”だ。
「僕らはアグレッシブな選択をした。たぶん、あとになって考えると違う方法が採れたかもしれないけど、誰にも罪はない。すばらしいレースを戦えたと思う」
35周終了時点でソフトタイヤに交換したベッテルは首位から4番手に後退。3番手ハミルトンとの間隔は10秒。5周後の差は7秒、10周後には5秒、15周後の50周目には2.5秒差。そこでハミルトンが、ターン9でミスをして2秒をロス。ベッテルは一気にDRS圏内に迫り、メルセデスを攻撃し続けた。
しかし、オーバーテイクが容易ではないことはコース上のあちこちにできた“渋滞”が示していたとおり──55周目にはベッテルもターン15でコースオフし、メルセデスを捕えるチャンスを失った。
「みんな、ごめんね」
直後の無線でチームに謝るベッテル。でも、これがレースだ。
フェラーリの他にもミディアムを避ける選択をしたのは、リカルドだ。再スタート時に4位だったレッドブルは軟らかいタイヤの特性+ショートスティントでグリップ力を生かし、マシンのコーナリング性能と組み合わせて、自分たちの長所を際立たせる攻めの作戦に出た。オーバーテイクはストレートエンドで実現しても、リカルドの鍵は手前のコーナーで高いボトムスピードを維持できるところにある。そうすることによって立ち上がりのパワー不足をカバーすれば、メルセデス搭載車も射程距離。ルノーのパワーユニットも確実に進化してきた。8番手スタートから表彰台には届かなかったものの、スタートからゴールまで鮮やかに攻めたレースは、いくつもの歓喜の瞬間を生み、オーストラリアGPは母国のファンにとって最高の祭典になった。きっと、リカルドが目指したのは成績だけじゃない。
リカルドとは逆に、スタートで6番手まで後退したハミルトンは、フェリペ・マッサこそすばやくかわしたものの、その後は4番手を行くマックス・フェルスタッペンに、ずっと前を塞がれた。間髪を入れずに攻めるオーバーテイクがハミルトンの持ち味であるはずなのに、物怖じしない18歳は巧みなライン取りでメルセデスを近づけない。第1スティントのフェルスタッペンは冷静さを保つことによって見事に才能を発揮した。
しかし再スタート後の39周を、ふたつのスティントに分けたトロロッソは、ピットインによってカルロス・サインツJr.が5番手から10番手に、フェルスタッペンは4番手から11番手まで後退。チームがサインツを先にピットインさせたことに不信感を抱いたフェルスタッペンは、冷静さを失ってしまった。ピットイン前のポジションはフェルスタッペンのほうが前であったし、普通なら彼が先にタイヤ交換する権利を持っていたかもしれない。しかし第3スティントのソフトでブレーキングのたびにタイヤをロックさせていたサインツは、それ以上走れない状態だった。予定より早い31周目のピットインと最終スティントをミディアムで走る選択は、チームの緊急対応だったのだ。
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6/8(土) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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6/9(日) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
6/10(月) | 決勝 | 結果 / レポート |
※カナダGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 194 |
2位 | シャルル・ルクレール | 138 |
3位 | ランド・ノリス | 131 |
4位 | カルロス・サインツ | 108 |
5位 | セルジオ・ペレス | 107 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 81 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 69 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 55 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
※カナダGP終了時点
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 301 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 252 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 212 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 124 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 28 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 5 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |