──予想していたよりも簡単だったところはありましたか。
簡単だったところはないですね。全部が初めてで知らないから、難しいなと思ったことのほうが多かった。基本的なドライビングは日本のレースで培ってきたものが活きました。そこは通用すると思います。だからこそ予選でもすべてがうまく行けば良いところに行けたし、優勝することもできたわけだし。でも、まわりがアグレッシブなんで、それに押されてしまいそうになるのが難しかった。
──外から見ていると、押し負けないでうまく戦っているように見えましたが?
押されてないときもあったし、押されちゃったときもあったし。実際には50%・50%くらいでしたね(笑)。
──最も難しかったのは、ヨーロッパのサーキットに対する経験不足でしょうか。
全部コースが違うから、そこに行くたびに合わせて、そのせいで良いときも悪いときもあって難しかったですね。初めてのサーキットで(45分間の)フリー走行で6周しかできなくて、予選で違うコンパウンドのタイヤを初めて履いて「さぁ行け!」って、いきなりフリー走行より2.5秒も速いタイムで走るわけです。ハンデというよりも博打みたいなもので、いつも直感でブレーキを踏んでるような感じなんですよ。それでミスをしないほうが不思議なくらいで、本当に難しかった。来年はレースで何周も走ったところで、もう一度戦えるわけだから、今年とは全然違って大きなアドバンテージになると思います。
──今シーズンのハイライトは?
それは、もちろんハンガリーでの優勝ですね。予選で失敗して気持ち的にガックリきていたんですけど、レースペースがすごく良くてレース1で8位まで行って、レース2でリバースグリッドのポールポジションから優勝。「しょせんリバースグリッドでしょ」って言われるのもわかるんですけど、後ろに同じクルマに乗るストフェルがいて、1秒以内まで近づかれたけど、それをもう一度離して、きちんと抑えきったという最も自信を持てるレース内容だったんです。