☆☆☆ マックス・フェルスタッペン
初体験の雨の鈴鹿、金曜FP1開始早々からインスタレーション・ラップで一番速く、また驚かされた。まっさきに計測ラップに入り、トップタイムをマーク。スプーン手前にある“川”で滑っても緩めない。『世界一速い17歳』、大器の片鱗を雨の初日に見た。
☆☆☆ ロマン・グロージャン
セクター1は、ややアンダーステア気味でも我慢。ここにバランスを合わせると西コースで逆にオーバーステアに陥る。セッティング方向性を、しっかり定めて得た予選8位に「予想以上の順位だ」と満足気。ヒュルケンベルグを追跡し続けたレースで、33周目に右前輪が壊れてピットへ。高速セクションで起きていたら一大事、シケインで良かった。祝・ハース加入決定。
☆☆☆ ルイス・ハミルトン
スタートから2コーナーで見せつけた勝負強さ。きついインサイドラインをとりながらサイド・バイ・サイドに持ち込み、「自分のコーナーだ」とロズベルグを刺した自信。強靭なメンタルパワーが、いま100%備わっている。また今年もポールポジションを獲れず、シケインのミスを反省。入口重視で突っ込み型のハミルトン、鈴鹿では予選よりレースに強い。162戦41勝、鈴鹿で『憧れのセナ』に並び、3冠にまた近づいた。
☆☆☆☆ パストール・マルドナド
グロージャンを上回る決勝“最速ラップ5位”が光る。第2スティントでミディアム24周ロングラン、落ち着いたペースで今季ロータスのベスト・ダブル入賞を。木曜午後から、やっと準備作業に取り組むことができた彼らを讃えたい。こういうチームをなくしてはいけない。そのためにもマルドナドの存在(資金)は必要不可欠、グロージャンより☆ひとつプラスした理由は、それだ。
☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
パワーユニットの制御設定に何か問題があるのではないか、と土曜FP3をセクター1で見ていて感じた。8位に終わったベッテルはQ1を7位、Q2も6位でキミ・ライコネンに先行された。流れは良くなかったが、それをQ3で変えて予選4位を確保したのはさすが。今年フェラーリに来て修正能力が著しく、レッドブル時代とは変わった。2位の座を、2度目のピットストップで奪われて3位ゴール。惜しかったが、マシン戦力的には妥当な結果だ。対ロズベルグ11点差、フェラーリの現実目標はベッテルのランキング「2位獲り」。直近5戦で83点はハミルトンと互角、ロズベルグ52点を超えている。
☆☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
決勝前、ホスピタリティ裏でばったり出会った時の表情は、まるで巌流島の宮本武蔵。「GP2エンジンかよ、くそっ!」。事実なのだから、叫ぶ気持ちは解る。もしもセナがこんな状況だったら、もっと痛烈な放送禁止用語を叫んだだろう。当時はドライバーの無線が中継に乗ることはなかった。レース後、ある現場ホンダ・スタッフは「いつもアロンソさんには『絶対あきらめないからな』と言われています。それが僕たちの励みなんです」。批判は激励、現場スタッフたちは受けとめている。
☆☆☆☆☆ ジェンソン・バトン
決断したときの男の表情は柔和で爽やかになる。鈴鹿入りした彼の顔には、にごりが見てとれたが……。1周入魂、コーナリングに打ち込むも、直線では軽4輪がスーパーカーに抜かれるようだった。レーサ―にとって、これ以上の屈辱はない。自己ベストラップは1分40秒台、下にはマノー勢2台のみ。彼自身の鈴鹿ワースト完走16位に、ここで五つ星を奢る。