ハミルトンのロングランも、リカルドと同じ1分51秒台前半で始まります。しかし、すぐにペースは落ちはじめ、最終的には1分52秒7。単純比較では、リカルドのペースの方が良いということになります。もちろん、両者がどの程度の燃料搭載量だったのかは分からないので、上記のような単純比較が正しいとは断言できません。とはいえ、少なくともデグラデーションの値に関してはレッドブルの方が優れている可能性が高く、特に決勝ではメルセデスAMGを苦しめる存在になると考えられるのです。クビアトはそれほど長いロングランを行いませんでしたが、そのペースも非常に良く、その上スーパーソフトとソフトの両方のタイヤで連続走行をしっかりと行えたという結果も、チームにとっては歓迎すべき結果だと思います。しっかりとタイヤ間の性能差を比較することもできたはずだからです。
さて、前述のようにハミルトンにとっても楽なレースとはならないでしょうが、ロズベルグについてはもっと深刻です。ロズベルグは1発のアタックのみならず、ロングランのペースも、レッドブル2台やハミルトンに大きく遅れを取っていました。ロズベルグは「セットアップが間違った方向に行ってしまった。でも何をすべきか分かったよ」というコメントを発しています。予選に向けて、彼はどこまで挽回してくるでしょうか?
さて、レッドブルの2台vsハミルトンという単純な構図になるかと言えば、そんなことはありません。フェラーリも、非常に戦闘力が高そうです。スーパーソフトタイヤを履いたセバスチャン・ベッテルのロングランを見てみると、1分50秒台というレッドブルやメルセデスAMGよりも速いペースで走りはじめ、その後急速にペースを落としていって計測ラップ4周目には1分51秒台後半に入れてしまうものの、その後はクールダウンラップを挟みながら、ハイレベルなロングランを敢行しました。ただ、デグラデーションはライバルよりも大きいように感じられ、そこが懸念点と言えるでしょう。
一方、ソフトタイヤを履いたキミ・ライコネンのペースも優秀で、1分51秒6で走り始めると、15周に渡って大きくペースを落とすことなく、連続走行を実施しました。その時のラップタイムから計算すると、1周あたりのデグラデーションは0.06秒と実に小さいもの。ここから判断するに、若干の懸念材料はあるにしても、フェラーリはメルセデスAMGやレッドブルと共に、先頭グループを形成することになるでしょう。
メルセデスAMGvsレッドブルvsフェラーリの三つ巴の争い。今季最も激しい、決勝レースとなるかもしれません。メルセデスAMGは金曜日から土曜日にかけて、その速さを増してくるのが常ですが、それを考慮したとしても、いつも以上にライバルとの差が小さいよう思えます。
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