HondaJetの特徴は、なんと言ってもそのエンジンの取り付け位置にある。従来のジェット機の場合、翼の下もしくは機体後部にエンジンを取り付けるのが一般的だった。しかしHondaJetは、エンジンを両翼の上部に搭載。これにより、高い燃費性能と、速度向上を実現しているという。さらに、キャビンはF1と同じくカーボンコンポジットによるモノコック構造を採用。これによっても気流の乱れを抑え、性能向上に寄与しているという。また、試験飛行時には、テレメトリーシステムも活用されたようだ。
なおこの機体のデザインは、「フェラガモのハイヒール」からインスピレーションを受けたものだという。ホンダエアクラフトの藤野社長は、「若い頃は計算を先にしていたが、経験を積んでくると、先にインスピレーションが来るようになる。美しいモノは素晴らしいですから」と語る。確かに、レッドブルF1のエイドリアン・ニューウェイも、まずは鉛筆を使ってF1マシンをデザインしていたと言われるが、それと似たようなことが、このHondaJetでも行われていたということだろう。
こうして開発されたHondaJet。すでにアメリカでは、購入者を対象にした試乗会を実施しており、「まるでロケットのような上昇だ!」「エンジン音は静かだ!」など、これまでにない評価が寄せられているよいう。
今回日本に初飛来したHondaJet。今後は仙台、神戸、熊本、岡山、成田などで一般公開が行われ、その後欧州を周遊するという。まさにワールドツアーだ。その最初に日本を選んだのも、ホンダの希望だったという。
ちなみにHondaJetは、発表当時ホンダF1チームのドライバーを務めていたジェンソン・バトンがその第1号機を予約していた。しかし、その後ホンダF1チームがF1撤退したことにより、HondaJetの購入契約は破棄されていたという。そのため、現時点でHondaJetの1号機を予約している人物が誰であるかは非公開であり、バトンやフェルナンド・アロンソが購入するかどうかについても、同様に非公開であるという。