ライコネンのチームメイト、セバスチャン・ベッテルはハードタイヤを履いてロングラン。こちらは、15周にも及ぶ長い走行でした。このベッテルのペースも非常に良く、平均ペースはライコネンのミディアムでの走行より0.5秒だけ遅い程度(ピレリはハードタイヤはミディアムタイヤよりも1〜1.2秒遅いと予測しています)。やはりデグラデーションも非常に小さく(1周あたり0.08秒)、場合によっては1ストップで走り切ることすらできそうです。
メルセデスAMGは、昨年から大きなマージンをもっていて、フリー走行でライバルと同等だったとしても、決勝では大きくペースを上げ、逃げ切るということが多くありました。確かに今回もその例に漏れないのかもしれませんが、ハミルトンもロズベルグも、「今回はフェラーリの調子が良さそうだ」と語り、警戒しています。メルセデスAMGはもちろん速いでしょうが、フェラーリからも決して目が離せない、そんな今週のマレーシアGPとなりそうです。
その後方にも目を転じてみます。前回、フェラーリと表彰台を争ったのはウイリアムズのフェリペ・マッサでした。しかし今回は、フェラーリと争うだけの力は、持ち合わせていないようです。走り出しのペースはメルセデスAMGやフェラーリと同等ではあるものの、デグラデーションの値が大きすぎます。マッサのミディアムタイヤ装着時のデグラデーションは、1周あたり0.33秒。ハードタイヤを履いても、その値はほとんど変わらず、3ストップ作戦を強いられることになるかもしれません。
今回のウイリアムズのライバルは、レッドブルとトロロッソというところになりそうです。彼らもデグラデーションの値は大きく、ウイリアムズと同じ。ペースも同様なので、コース上での激しいバトル、そして細かな戦略によるポジション争いが期待できそうです。開幕戦で好調だったザウバー、特に今回はマーカス・エリクソンの方が調子良さそうで、彼もこの集団に絡んでくるかもしれません。
また、ロータスも面白い存在になりそう。走り出しのペース自体はウイリアムズらに比べると1秒近く遅いものの、デグラデーションの値は非常に小さく、ピットストップ回数を少なくして、上位進出を目指してくる可能性があります。テレビの画面に映る回数は少ないかもしれませんが、あれよあれよという間に順位を上げているかもしれません。こちらもご注目ください。