熱の影響でモーターによりハイブリッドパワー、MGU-Kの120kWのエネルギー(約160馬力)が使用できていないのではないかと推測されるが、新井氏はそれを否定する。
「MGU-Kは使っていますけど、たとえばフルパワーのMGUーKを使えば、またリチャージするしかないということになってしまうので、エネルギー的にはプラマイゼロになるようなセッティングで走っていました。それよりも燃料の量を抑えるとか、コーストする(惰性で進む)とか、そういうドライバーのテクニックで頑張ってもらって、彼も完走することを目的にしてやってくれたと思います。本当に頭が下がります」。新井氏は素直にバトンに感謝を述べた。
ポイント圏内まであとひとつとも言える11位、それでも走行した中では最下位。この開幕戦の結果に当然、新井氏は満足していない。
「たとえば今日、10位になったとして、笑えと言えば笑えますけど、それはちょっと難しいですよね。そこが目標ではない。バトルができるところまで持っていかないと、我々もF1にサプライヤーとして出て行く意味がない」
レース終盤には燃費の目処が立ったところでバトンがプッシュ。最終周に1分33秒338の自己ベストタイムをマークした。同じ周のトップのルイス・ハミルトンとは1.7秒差があるが、中位を争える速さは最後に見せることができた。それでも、新井氏の見方は厳しい。
「少なくとも(トップの)相手のレベルまで行かないと。それはどのくらい(タイムが)行くかではなくて、どのくらい行かないとレースにならないかということですから、そこを目標にやるしかないと思っています。昨日の予選の結果で言うと、あれだけの差(Q1トップと2.9秒差)ではレースを成立させようと思ってもできないですよね。(パルクフェルメ規定でクルマを触れず)そのまま、今日は臨むしかなかった」