予選セッション後のマクラーレンでの共同会見では、ホンダの新井康久F1総責任者がメデイアの質問に答えた。名門マクラーレン、そしてホンダという伝説の組み合わせの復活で湧く今年のマクラーレンだが、まさかの開幕戦予選最下位という結果にホスピタリティの雰囲気はいつになく重々しい。イギリス、そして日本のメディアだけでなく多くのメディアが会見に詰めかけ、質問のほとんどはドライバーよりも新井氏に集中した。
「バルセロナの結果からすると、もう少しできるかと思いましたけど、昨日と今日のコンディションの違い、それから、1レース目でエンジンを失うとシーズンを戦う(年間4基と規定で定められている)のが非常に厳しくなるので、かなりコンサバティブなセッティングをした結果、ドライバーの要求どおりに出力を出すことができずに、このような結果となりました」
現在のホンダのパワーユニットRA615Hは、全開でパワーを出すことができない状況だと新井氏は話す。
「熱の問題に起因するのですけど、それを避けるために確認していないところは使えないので、そこの部分を避けて使っていて、MGU-Kも100%、フルパワーでは使っていませんし、エンジン側も出力的には下げた状態で使わざるを得ませんでした。メカニカルでトラブルがあるわけではないですが、確認ができていないので使えていない、というのが正直なところです」
予選日は一時、路面温度が46℃にもなるほどの晴天に恵まれた。だが、この晴天も未経験のホンダ陣営にとっては、大きな痛手となった。予選開始でも路面温度は38℃。Q3の終了時には10℃下がっていたので、昼間の高い路面温度が熱害として、ホンダRA615Hのパフォーマンスの低下を強いることになった。
タイト&コンパクトがウリだったMP4-30のパッケージだが、結果的に冷却不足という諸刃の刃の餌食となる格好になってしまった。もちろん、ホンダ側としては、これもいわゆる想定外の問題だったのだろう。会見で新井氏が熱の問題を述べると、海外メディアからはすぐに鋭い質問が飛んだ。「次のマレーシアだと通常でも50℃を越えますが?」